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幼稚園からのおしらせ
幼稚園からのおしらせ

学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 白髪先生のつぶやき りす



平成11年度
   心のふるさと 平成11年9月30日

幼稚園に卒園児が時々訪ねて来てくれます。卒園して間無しの子もいれば、小学校の高学年の子、中学生や高校生もいます。そして大学生や、社会人となってからも訪ねて来てくれます。この夏にも何人か訪ねて来てくれました。そのうち、数人の子のことを紹介します。
7月の中旬、事務室で、「美穂先生に会いたいんです。中に入っても良いですか?」と言う女性の声が聞こえたので、誰だろうと思って隣の園長室から出てみると、高校2年生の、やはり同じ美穂ちゃんと言う女の子で、制服を着て立っています。「今日、学校は?」とたずねると、「美穂先生にどうしても会いたくて1時間だけサボって来た」と言うのです。幼稚園の中に案内して行くと、もも組の前のテラスに美穂先生がいました。すぐさま抱き合って泣いています。「高校の先生は幼稚園の先生とは全然違うんよ」と、彼女なりの悩みがあるのか、不満そうに言っています。「この幼稚園に来ていなかったら、わたし、ぜったいグレていたよ。この幼稚園が好きじゃけ、迷惑掛けたらいけん思ってがんばっとるんよ。すごいええ幼稚園に来て今でも幸せじゃったと感謝しとるんよ」と泣きながら言っています。「そう、ありがとう。美穂ちゃんが幼稚園に感謝してくれているように、この幼稚園を選んでくれたお父さんお母さんにも感謝しなくちゃ」と美穂先生が言うと、「うん、そうじゃね」と、素直に答えています。「先生、結婚決まったんじゃろ。美穂はすごく喜んどるんじゃけ。わたしだけじゃないんじゃけ、男の子もみんな喜んどるよ。今日は、どうしてもおめでとうと言いたくて学校をサボって来たんよ。結婚式にはぜったいおしかけて行くけぇね」と言っています。なんと、美穂先生の後輩の先生が次々と先を越して結婚して行くのを、高校生になった卒園児までもが心配していてくれたのです。
夏休みになって間無しに、また、卒園児が訪ねて来てくれました。ちかちゃんと言う大学2年生の女の子です。年長組の時の担任だったあずさ先生とまだ文通が続いています。あずさ先生から、「園長先生、ちかちゃんが、今、幼稚園に来ていますよ」と、プレイルームで子供たちと遊んでいることを教えてくれました。急いでプレイルームに行ってみると、幼いときの面影を残したまま大人になっているちかちゃんがいます。「ちかちゃん」と、声をかけると、「わー、覚えてくれとって」と、すごく喜んでいます。「幼稚園の頃のこと覚えてる?」ときくと、「ところどころしか覚えていないけど、幼稚園に来たら何故かすごく気持ちがいい。いっぱいいっぱい話したい気分になって来る」と言います。「弟のTくん元気でいる?」と訊くと、「元気だけど、今すごく悩んでいるんよ。本当は一緒に来るって言っとったんだけど、朝になって行かん言いだしたんよ」と言います。身体に重度の障害を持って生まれて来た子で、とても信念の強い子です。小学生、中学生になっても頑張っている様子を風の便りで聞いていました。今は高校1年生ですが、その障害のことで友達からいじめを受け悩んでいたのです。「ちかちゃん、家に帰ったらTくんに必ず幼稚園に遊びに来るように言って。絶対気持ちが和むから」と言うと、「うん。必ず来るように話してみる」と言って帰りました。その子はまだ来ていませんが、お母さんがこられて、「今でもこんなに心配してくださっているのが嬉しい」と言われるのです。私は会うことが出来ませんでしたが、あずさ先生には会えて話が出来たようです。
もう一人女の子が、東京から訪ねて来てくれました。久美ちゃんと言う、もう26才の女性です。家族で東京に住んでいますが、高校を卒業してから、旅行会社に勤めていました。ところが、お母さんがくも膜下出血で倒れ、意識不明となり、会社に勤めながら看病をしていて、やっと自分のしたいことが見つかったと言います。「会社を辞めて、今から看護学校に入学しようと思うけど、歳が歳だから、悩んでいた」と言うのです。「でも、幼稚園に来てみて、なんだか勇気が沸いて来て、決心が付いた。しかも、園長先生がその歳で大学院に行ったと聞いて、余計にやる気が出て来た」と、元気に帰ってい来ました。
9月になってもう一人、28才になる圭紀くんです。かわいい彼女を連れて来て、私に仲人をお願いしたいと言うのです。その子は大学を卒業してから、1年ほど企業に勤め、今は村役場に勤めています。「役場の課長さんか部長さんにお願いする方が良いのでは」と薦めても、「どうしても園長先生にして欲しい」と言ってくれます。その子も、幼稚園の頃のことは余り覚えていません。大人になった頃には幼稚園のことは、どの子もほとんど忘れてしまい、部分的にしか思い出すことはありません。それなのに、幼稚園を訪ねて来てくれるのです。しかも、幼稚園に来ると気持ちが和んだり、意欲が沸いて来たりすると言います。そうなんです。自分に生まれ育ったふるさとがあるのと同じように、心のふるさとが幼稚園なのです。記憶は薄れていても、心の奥底にある感性は、幼児期に育まれ、その子の人間性の基となっているのだと思います。豊かな生活体験を通して豊かな幼児期を過ごすことは、心豊かで、その子の人生を豊かなものにしてくれるのです。



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