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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 白髪先生のつぶやき りす



平成15年度

   壺(つぼ) 平成15年12月1日

 先日、会議のため車で広島に向かっていたら友達から携帯電話が入りました。「今日、仕事が休みなので例の壺を持って行くから」と言うので、「今日は広島に出張で、早くても6時半でないと帰れない」と言うと、「じゃあ、7時頃、二組の夫婦で行くから」と半ば強引な訪問が決まったのです。「例の壺」と言うのは、彼の奥さんが趣味で陶芸をやっているのですが、その奥さんの作品なのです。2年前に、彼のお家を訪問したとき、玄関に花瓶が置いてあり、すぐ目にとまったのです。「この花瓶、すごく素敵!!」と、一目惚れした花瓶で、すごく芸術的な花瓶だったのです。なんと、話を聞いてみると、近所に陶芸教室があり、共働きの奥さんが、仕事の合間を縫ってはその教室に通い、自分が作った作品だというのです。その奥さんが陶芸をやっていることなど一度も聞いていませんでしたので、そのことに驚いたのと、センスの良さに感動したことがあったのです。そこですぐに売って欲しいとお願いしたのですが、自分も一番気に入っている作品だからダメだと断られたのです。そこで、「じゃ、これでなくていいから、また作品ができたら分けて欲しい」と、一応、お願いだけはしておいたのです。
 一方、私の方はというと、訳有って9年前から、家での料理を始めたのですが、仕方無しにするのでは料理は苦痛なだけですから、「料理を楽しもう」と心に決め、毎日の食事を作っているのです。そのことを知っているその友達が、一度、私の料理を食べてみたいと言っていたので、「仕事が休みの時においで」と言っていたものですから、食材だけは、女房に電話を入れて、買い揃えてもらっておきました。
 そして会議が終わって急いで帰り、6時過ぎに家に着くことができました。服を着替え、すぐ台所に立って料理を始めたのですが、私の家族を含めて7人分の料理を作っている途中に7時が過ぎてしまい、友達の二組の夫婦がやって来ました。女房がお客さんの話し相手をしてくれている間に、料理もできて、食卓に運び、会食が始まったのです。
 食事が始まって間無しに、「そう言えば壺を持って来てくれているのだ」と思い出し、「壺は?」と訊ねると、「玄関に飾ってある」と言うものですから、急いで玄関に行ってみると、なんと、「自分も一番気に入っている作品だからダメだ」と断られた、私も一番気に入っていたあの作品なのです。しかも、「記念にあげる」と言うのです。
感激です。その作品をもらったこともですが、私の家に来る前に、その友達夫婦でお互い話し合って、「一番気に入った物を持っていくのが理事長の家に一番似合う」と決め、持って来たと言うのです。これには感動させられました。一番自分たちが気に入って大切にしている物を人にやることなどなかなかできるものではありません。「自分たちの玄関はどうするの?」と聞くと、「小さい作品を二つ並べて、何とか見栄えをつくろった」と言います。「素敵な夫婦」とはいつも思っていましたが、もっともっと素敵な夫婦に見えてきました。
 実は、その奥さんはガンで、3年前に大手術をして、大腸のほとんどを切り取り、今でもポリープが次から次とできて、検査のたびに切り取っているのです。そんな体なのに、とても元気で、毎日、明るくニコニコと笑顔を振り撒きながら仕事をしているのです。旦那の方がオロオロしているのです。でも、そんな状況下なので、その友達夫婦から、私たち夫婦は、夫婦愛のすばらしさを身近に感じさせてもらっているのです。そう感じながらも、残念ながら、私たち夫婦はまだまだ足元にも及びません。
そういう夫婦だからこそ、時間と命の尊さを最も感じている夫婦だからこそ、一番大切な壺を分け与えることができたのだと思うと、余計にありがたく、心の豊かさと愛の深さを感じざるを得ません。
 戦後の、昭和30年代からの日本の世界に類を見ないほどの経済成長は、日本人を経済的にとても豊かにしてくれました。不景気がどこ吹く風とばかり、小学生、中学生までが携帯電話を持ち歩いています。便利さと共に、機能も、メールやインターネットにカメラ付が当たり前の時代です。しかしながら、一方では、だんだんと人の心の豊かさを失ってきているように思えてなりません。人との会話もとても幼稚で粗末なものになってきています。
 先の友達夫婦には、心の大切さと人に対する愛情の尊さを、改めて教えられ、考え直させられた出来事でした。
 先の料理の話に戻ります。私が9年前に料理を始めてすぐに気が付いたことがあります。「料理は愛情」だと言うことです。料理を始めて何日かが経ったとき、ふと気が付くと、「相手にいかに美味しいものを食べさせてやろうか」と、そのことばかりが頭の中にあるのです。「料理は愛情」だとは聞いたことがあったのですが、自分で実感できたのです。その後もずっと料理をしてきて、「相手にいかに美味しいものを食べさせてやろうか」と言う気持ちを少しでも忘れると、手を抜き、てきめん、味が落ちてきます。
お母様方は、美味しいものだけではなく、子供の健康を考えて栄養のバランスに気を付けられたり、添加物に注意を払って料理をされたりしていらっしゃると思います。お子様や家族の方も、お母様の愛情をしっかりと感じ取ってくれているはずです。
ちなみに、友達夫婦二組が家に来てくれたときの一品を言いますと、「金沢風じぶ煮」です。サトイモと人参、椎茸を煮込んで、小麦粉をまぶして、野菜を煮た汁を別の鍋に取って、煮たカモの肉とホウレン草を添えて作ります。金沢に講演に行った時に出会った「じぶ煮」で、同じように作るのですが、どうしても同じ味になりません。講演等で4回行きましたが、4回とも同じ店に寄って、とうとうお店の人も最後のコツを教えてくれました。途端に同じ味の「じぶ煮」ができるようになったのです。「美味しいものを食べさせてやりたい」と言う執念と「料理を楽しむ」心を持続できたからだと思います。




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