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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『「伸びしろ」は「目標」をつくる』 
             2019年11月29日

先月から、更に幼稚園が秋色に染められました。色づいた葉が落ち始め、子供達はいろいろに楽しんでいます。落ち葉を見たり集めたり踏みしめたりしながら五感を通して秋を感じさせたいと、先生達の提案で毎朝していた掃き掃除をやめて、そのまま残しておくようにしています。木枯らしに落ち葉が吹かれていく様や踏みしめた時の枯れ葉の音を見たり聞いたりしながら、子供達は秋にどんなイメージをもって大きくなっていくのでしょうか?

10月に行った十三夜のお茶会──。お月見は秋の豊作を願い、収穫に感謝して美しい月を眺める日本古来の行事ですが、この十三夜の月は、満月の時より欠けています。日本人は昔から、満月も美しいがまんまるに少し足りない姿もまた美しい──と、不完全なものに“はかなさ”や“健気さ”という“美”を見出してきました。

今、子供達は、12月に行われる音楽発表会に向けて毎日一生懸命に練習をしています。最初は、自分達が踊ったり演奏したりする曲を聴いて、そのリズムを感じとり、身体や楽器を使ってその曲をダンスや合奏で表現します。子供達は、これ何の曲だろう?という興味からみるみるうちに、踊りたい!演奏したい!という意欲に変わります。クラス全員で演じるまでには、先生達の秘策(?)があり、いろいろなドラマがありました。それを全て語りきる事は難しいのですが、練習をずっと見ていると、子供達と先生が真剣にその一曲に向き合って挑んでいる事をひしひしと感じます。まだ先が見えてこない早い時期に子供達の中には、「できない」「やりたくない」「もうやめたい」という気持ちになる事もあったかもしれません。特に合奏となると、これまでした事もない楽器を使い、その技術だけではなく曲に仕上げるために、そこにはみんなで気持ちを揃えて調和する事が求められます。一人ひとりがしている演奏は、そのパートだけでは、完成された一曲にはなりません。不完全です。その部分を完全なものにするために、別の不完全なパートが担う……それでもまだ足りない部分をまた違うパートが担う……この重なり合いが完全なものに仕上げるのです。不完全なものを完全なものにしようと努力する“健気さ”にこそ力強さや美しさや眩しさを感じるのです。しかも、そこに至るまでにも、個々に子供達は自分なりに努力をしていました。園庭に保育室から響いてくる太鼓や木琴、鉄琴の音……子供達が、苦手な所を自分で練習していたり、できるようになって嬉しくて何度も一人で音を出してみたりしていたのです。できていなかった部分を練習で埋めて完全なものにしようとするその一生懸命な姿は本当に眩しかったです。自分達の“伸びしろ”に挑戦している姿でした。自分ならもっとできるはず!と、自分の可能性を信じているのです。「もうできない」と諦めていない姿です。それには『先生とクラスのみんなで、一つの曲を自分達の力で頑張って完成させよう!きっと、素敵な演奏になるし、そうなっていく事が楽しい!と思えるから…!』という事を目標の一つにして頑張る日々を送ってきているからだと思います。「あなたならもっとできるかもしれない。もっと出せる力があなたにはあるかもしれないよ。」と一人ひとりの潜在している力を先生達が引き出していく事で、子供達は自分の力に気づかされ、「そうか!僕、もっと頑張れる自分になれるかも!」とその時の自分の姿を夢見て目標にします。早い時期に完成したと満足してしまったら、それ以上の努力も必要もなく、完成に向ける伸びしろもありません。「このくらいでいいや」ではなく、先生達は「もっと、この部分をこうしてみよう!」と、楽器の音色やリズムにこだわります。合奏だけではなく、合唱や踊りでもそうです。それは、「あなたはできるよ!」と、一人ひとりに伸びしろを作ってあげているのです。それは子供達が完成に向ける更なる目標をつくるという事なのではないかと思うのです。

“伸びしろ”の類語のひとつに“期待値”という言葉があげられます。周りから受ける“今よりもっと良くなる可能性”を込めた言葉ですが、誰かから期待をされて嬉しい気持ちを持たない人はいないのではないかと思います。過分な期待は逆効果ですが、その子にどんな力がどれだけあるかを見極め、伸びしろの幅を大きくしたり小さくしたりしながら、子供達の意欲を引き出していくのです。これも、先生達の秘策のひとつです。

音楽発表会では、そうして作り上げてきたステージを温かく応援しながらご覧いただきたいと思います。ステージの上で、踊ったり歌ったり合奏したりする子供達一人ひとりが“伸びしろ”を持ち、完成に近づける事を目標に頑張ってきた事を感じ取っていただけたら嬉しいです。一曲に込める目標、クラスとしての目標、それらが幼稚園としての大きな目標を成し遂げる──そこには、不完全をみんなで完全なものにしようと努力しその部分をそれぞれの力で補い合いまた担い合い、こうして出来たものこそ、素晴らしい完成作品だと言えるのではないかと思います。我が子を観る時、一人ひとりの中に完成に近づくために目標をもち、頑張ってきた今までの事を想像しながら、一人ひとりにそれぞれ完成の形が違う事にも気が付いてあげてください。その姿に、大きな拍手をおくってあげてほしいと思います。「大丈夫!あなたはできるよ!」と指揮をする先生達と「うん!そうだね。がんばるよ!」と、その一曲に向き合おうとする子供達との間に漂う空気感をどうぞお楽しみください。

子供達には、まだまだ伸びしろがあります。頼もしい限りです。

田房葉子





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