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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす りす




『さじ加減』   2020年7月31日

新年度が始まって4カ月、新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛期間や休園期間があり、みんな不安な4カ月だったかもしれません。しかし、その期間を経ての今の子供達に目を向けると、それぞれに皆自分を発揮して生き生きと園生活を楽しんでいる姿が頼もしくもあり可愛くもあります。今年度は、夏休みを短縮し8月7日に1学期の終業式を行います。“この1学期間、みんな元気でいてくれて良かった”と思う気持ちでいっぱいです。

さて、この1学期間、私は毎日中門で登降園する子供達を迎えています。「えんちょうせんせい!おはようございます!」「さようなら!またあしたもくるよ!」という元気な声に私の方が元気パワーをもらっています。でも、みんながみんなそんな調子で登園してくるかと言えば、そうではありません。通常保育になってからそうは言ってもまだ2カ月しかたっていないのですから、新年度の波にすぐに乗れた子もいればまだ乗り切れていない子がいても当たり前だと思っています。そんな中、毎日絶対にお母さんと一緒でないと保育室に向かえない年少組のある男の子がいました。しかも、制服のボタンが難しいからといつも体操服での登園でした。その子は満3歳児クラスから幼稚園に通っています。去年1年間もお母さんと一緒に保育室まで行っていました。年少組さんになったので、そろそろ頑張ってくれるかな?と思い、時々「今日は、園長先生が一緒に行ってあげよう!」と言って誘っていましたが、「お母さんと一緒がいい」とお母さんの手を離しません。でも保育室に一旦入れば、友達とも遊べて楽しく過ごせているのです。

そんなある日、私はその子のクラスで昼食を食べました。その男の子と一緒のテーブルに座り、様子を伺いながら少し話しかけてみました。「○○君は、いつも、きれいにお弁当を食べるんだね。えらいな〜。だって、さつき組(満3歳児)さんで、いろんな事ができるようになってググ〜ンとお兄ちゃんになったんだもんね。」と言うと「うん。」とゆっくりうなずいてくれました。私の話を聞いてくれそうだったので、その子にだけ聞こえるような小さな声で「アッ!そうそう!○○君、制服のボタンがちょっとだけ難しい?」と聞くと「うん。」と周りを気にしながら答えてくれました。「そうよね。ちょっと穴からボタンを引っ張るのって難しいんだよね〜。でもね、できなかったら、先生か誰かに“してください”って言ったらいいよ。園長先生だって手伝ってあげるから、どうってことないよ。平気!平気!」と言いました。「うん。」と言ってくれました。その時の顔には、ちょっと彼なりの決心がみえたような気がしました。そして、次の日、私はその子がやって来るのを楽しみに中門に立っていました。すると、車から降りて来る彼は制服を着ていたのです。「今日は自分で頑張って制服を着て来ました!」と言うお母さんの嬉しそうな声と少しはにかむ彼の得意気な顔が印象的でした。

同じように、一人で中門から入っていけない子供がいれば、様子を見て先生達は今のその子に合った言葉で声かけをします。また、トイレに行けない子にも、友達と上手く関係づくりができない子にも、いたずらが過ぎて注意が必要な子にも、どんな時でも先生達はタイミングと言葉や言い方や表情を考えてアプローチします。“その子に合った”という事が大切です。この子にはこのぐらい…この子ならこんなふうに…この子にはあの子よりもう少したくさんの……と、考えます。先生達のその技(?)にいつも「さすが!凄い!」と思わされます。これはまさに『さじ加減』なのです。料理をする時、ベテラン母さん(父さん)になると、味つけにいちいち計量カップやスプーンで調味料を計らないのではないですか?思う味になるように、経験で量を加減されると思います。このさじ加減を誤ると、濃い過ぎたり薄過ぎたり…悩めば悩むほどとんでもない味になったりします。先生達は、集団の中にいる子供達の事を一番よく知っている人で、巧みな『さじ加減』で子供達に成功体験をさせる事により自信を高めそれからの様々な結果に繋がるように導きます。この時もさじ加減やタイミングを間違えると、その子のプレッシャーになったり逆に自信を失わせたりしてしまう事もあります。だから、「どうってことない、平気平気」と簡単そうに言った言葉であっても、実は慎重に考えての『さじ加減』なのです。簡単そうに言ってあげる事で、“本当は制服を着て自分で荷物を持ってひとりで歩いてお部屋に行ってみたい”というその子の中に潜んでいる“意欲”を楽な気持ちにして引き出してあげるのです。

兄弟姉妹で性質が違っていたら、同じ事をしてもその叱り方や導き方を変えている事がありませんか?辛めにしたり甘めに言ったりまたほんの少し薄めたり違う薬味を入れてみたり……『さじ加減』です。その子達それぞれに親が願い求める方向は同じでも、そこに行きつくまでの方法にはこの『さじ加減』が必要だと思います。誰彼無しに同じように言って同じ結果が出るわけではないのです。そのためには、一人ひとりの事を良く知り、よく観てよく理解をしている事が大切です。この1学期を通して、自分が自分らしく発揮できる園生活を送ることにより、先生と子供達一人ひとりの関係が築かれて来ています。そこには、先生達の巧みな『さじ加減』があるのです。

今年は短い夏休みですが、それでもお子さんと一緒に過ごす時間は普段より多くなるでしょう。無意識に『さじ加減』──されているはずです。その『さじ加減』……丁度良いかな?

田房葉子





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