余白
総合保育施設子供の園ちゅうおう
ホームへもどる
お知らせはこの下

三次中央幼稚園
教育方針
園の特色
子供たちの広場
年間行事
入園案内
プレイルーム
(預かり保育施設)
三次中央幼稚園のブログ
白髪せんせいのつぶやき
葉子せんせいの部屋
えんちょうのえほんこうざ
 
子供の館保育園
子供の城保育園
 
ちゅうおう憩いの森
ちゅうおう児童クラブ
 
メールはこちらへ
プライバシーポリシー

幼稚園からのおしらせ
幼稚園からのおしらせ

学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 葉子せんせいの部屋 りす





「子供の心に寄り添う」   平成24年2月29日

先日は、今年度最後の参観日でした。幼稚園では、一年の間に何度か参観日を行い、毎回その時期の子供達の成長を観ていただけるように内容も様々にしています。今回の最後の参観日では、各クラスで考え友達と協力し合いながら演じる劇あそびを観ていただきました。幼稚園という小さな社会で色々な経験を積んできた一人ひとりの様子や、深まった集団の関わりには、一年の集大成とも言える大きな成長がみられます。いかがだったでしょうか?各クラス共、笑いあり感動の涙ありの“劇あそび”で、盛り上がったのではないでしょうか。そんな中、年少うめA組の『ももたろう』の劇あそびの裏側に、こんな温かいエピソードがありました。劇あそびに向けて、先生に絵本を読んでもらったり話をしてもらったりして少しずつ劇を組み立てていた頃だったと思います。私が保育室の前を通ると、元気な歌声が聞こえてきました。その歌声に誘われるように行ってみると、うめA組の子供達がとても張り切って歌いながら踊っていました。どの子もどの子も活き活きとしていました。これは、うめA組に限らずどのクラスでも、子供達をその気にさせる先生の指導力にも感心させられますが、その時の子供達の満足気な顔つきにもまた驚かされました。みんな得意顔なのです。新年度が始まった頃には見られなかった顔でした。それから数日後、担任の平田美穂先生が「いとうはやと君のお家からこれをいただいたんです。」と何やら持って来ました。そして、添えられていたお母さんからのお手紙にはこう書かれていました。『はやとも、(家で)ももたろうの話をしてくれています。「ママ、今元気がなくなって休んでいるお友達がいるんよ。きびだんごを食べれば元気になるはずよ」とずーっと言っています。風邪で休んでいる子や咳をしている子が心配なのでしょう。きびだんごの代わりになるかどうか分かりませんが、うめAキッズの皆で食べてください。』──見てみると、それは“乳団子”でした。はやと君のお父さんとおじいさんは“乳団子”を製造販売しておられます。お母さんは、我が子が今一番に心寄せているものが“ももたろう”の劇あそびと欠席している友達の事だという事をしっかりと受け止めておられたのです。園長先生も、その手紙を読んで、すぐに「そう。ありがたいねぇ。子供達に食べさせてやってね。」と共感していました。そして、美穂先生は、子供達にその話をして“乳団子”を食べさせました。それからは、いぬさん、さるさん、きじさん、そして何よりお休みや咳をしていた子もみんなみんな元気になった事でしょう。

子供は、いつも現実と空想の中をさまよい楽しんでいます。ノンフィクションの物語の中にでも自分を登場させて、また想像して考えたり楽しんだりします。はやと君も“きびだんご”には、鬼ヶ島の鬼を退治できるくらい強くなれるパワーがあるのなら、お休みしている友達も食べたら早く元気になれるんじゃないかな?と真剣に思ってお母さんに話したのでしょう。その話を聞いて、お母さんははやと君の純粋な気持ちに寄り添ってあげられたのです。「じゃあ、きびだんごではないけど、お父さんとおじいちゃんの乳団子を持っていこうか!」というその時になされた母子の会話にとても温かいものを感じます。はやと君はどんなに嬉しかったでしょう。“ももたろう”の物語の中に母子一緒に入り楽しんだのです。それから、“ももたろう”の挿入歌は、♪♪も〜もたろうさん、ももたろうさん、おこしにつけたちちだんご、ひとつわたしにくださいな♪♪ という歌に変わっていました。そして、美穂先生は、ちゃっかり乳団子の包装用の袋までもらって小道具を作りました。そして参観日…、ももたろう役の子供達の腰にはその“乳団子”がついていました。可愛い可愛い“ももたろう”の劇に、クラスの保護者の方の顔もほころびっぱなしでした。

たとえ本当の“ももたろう”の話と違っていたとしても、そんな事は問題ではないのです。幼稚園の経験に心動かされた我が子と共に同じ鼓動を打つ事に喜びを感じる事は、お母さんにとっても子供にとっても幸せだと思います。誰でも、自分の心に寄り添ってもらえたら、その時覚えた感動はさらに展開したり深まったりします。ちょっとした、心の動きが本物の感動になり、その時に感じた事がその子の心を育てていく事になるのです。たまたま、岡山に行った園長先生もうめA組の子供達にきびだんごを買って来てくださり、ますますうめA組の子供達の“ももたろう”に向ける気持ちは盛り上がりました。うめA組の子供達にとって“ももたろう”の物語は特別なものになったでしょう。何よりはやと君にとっても……。

そう言えば、昔、年中組を担任していた時、クラスでサッカーが大流行し、保護者がサポーターになってくださり、サッカー大会で盛り上がった事──。年長組の時、牛乳パックでそうめん流し台を作ってそうめんを流したい!という子供達の願望をクラスの保護者に知らせたら、「お手伝いしますよ」と言って、たくさんのお母さん方が手伝いに来てくださった事──。こうして、子供達の突拍子もない夢が何度か叶った事を思い出しました。

幼稚園では、子供達はもうすぐクラスの先生や友達との別れを控えています。この一年の間に、子供達同士でも先生とでも、お互いの小さな心の動きを大切に受けとめ、寄り添って過ごせるようになりました。そんな関係になれるクラス、仲間、家族は、本当に宝物ですね。

♪♪も〜もたろうさん、ももたろうさん、おこしにつけた
   ちちだんご、ひとつわたしにくださいな♪♪

……これも、また、なかなかいいじゃあないですか。
ももたろうさん、すみませんねぇ。ここはひとつ大目にみてやってくださいな。

田房葉子



BACK



(C) Miyoshi-date Gakuen Educational Foundation Miyoshi, Japan 2001-2008 (C) ASTOK JAPAN,INC. Osaka, Japan 2001-2008
(C) Chuo Fukushi-kai Welfare Miyoshi, Japan 2001-2008