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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『僕の想いが誰かに届く』 平成26年2月28日

幼稚園の花壇に植えたチューリップが小さな芽を出しています。

“あぁ、やっと春が来たぞ”と言いながらでしょうか、お行儀よく並んで出ている芽がとても可愛く思えます。節分に福の神と春を迎えたはずなのに、なかなか暖かい日が続く事がなかったのですが、ここに来てやっと春を感じるようになって来ました。

今年度もあとわずかとなり、幼稚園ではどのクラスでも残された日々を大切に大切に過ごしている様子がうかがえます。特に、年長組は3月になるとこの幼稚園を卒園します。ひとつでも多く思い出をつくろうと、充実した毎日を送っています。卒園の準備も少しずつ進めています。

1月の終わりには卒園写真を撮りました。その時に、PTA会長さんが、風船のプレゼントをしてくださいました。“子供達が笑顔で写真を撮る事が出来れば…”という温かい会長さんのお気持ちでした。卒園児が一人に一つ持てるように十分な数の風船──、子供達は撮影場所に飾られたその風船を見て感謝しながら良い顔で写ることができました。そして、その風船に、一人ひとりの色んな想いをつけて空へ飛ばそう!という事になり、保育室に戻ってメッセージを書き始めました。夢や願い事、自分の事…色々な気持ちが書いてありました。自分の心の中だけに秘めておくのではなく、果てしない大空に向けて飛ばす事で、もっと強くもっと広くその想いを確かなものにできるような気がしました。幼稚園の全ての先生や子供達が見守る中、たくさんの応援の声と共にその風船は広い広い青空に飛んで行きました。その光景は、実に感動的でした。

それから数日後、三重県の方から園長先生に電話がかかってきました。メッセージを見つけてくださったのです。園長先生からその事を知らされた子供達は驚いていました。そのメッセージには、“せかいのみんなが えがおにかわりますように…”と書いてあったようです。それからまた数日後、兵庫県の方から「散歩中に、海岸近くで愛犬“トム”が見つけました」というおたよりが来ました。“つなみになりませんように”というメッセージが書いてあり、津波の危機範囲にお住まいのその方は“お見舞いのたより”と嬉しく受け取ってくださったようでした。そして、またつい最近、同じく兵庫県の中学校の教頭先生から子供宛てに手紙が届きました。中学校のグランドに落ちて来たのを手にして読んでくださったそうです。その子は、熊本に住むおじいちゃんとおばあちゃんにメッセージを書いたようですが、風に乗って逆方向に飛んだのです。それでも、送られてきた手紙に大喜びでした。この出来事に、子供達も大人の私達も感激を味わう事ができました。

その場所も、その人の顔も知らない所へ、ゆっくりゆっくりただ風に乗せられて届けられ、それを見つけて幼稚園を調べ、お返事を書いて届けてくださる方がいて……。なんて、夢のある話でしょう。空から届いたメッセージを手にしてくださった方は、どんな子がどんな状況でこのメッセージを飛ばしたのかをそれぞれに想像しながら読んでくださったでしょう。逆に子供達が空に向かって飛ばした時、どんな所に飛んで行き、そこにはどんな風景がありどんな人が見つけてくれるのか?たとえそれが、人の手元に届かなくてもいい、海に流されても魚達の目には触れるだろう、風に乗って飛んでいるメッセージを鳥も見てくれるだろう──、一体自分達の手から離れたメッセージはどんなふうに届くのだろうと、想像に胸を膨らませていたのです。



たまたま、手にとって読んでくださった方からのお返事に、子供達は、自分達の想いが確かに誰かに届き、誰かの心を打った事に感動したはずです。そして、そのメッセージに託した想いが、より自分の中で確かなものになっていきます。“世界のみんなが笑顔になる事”“津波によって命を失う事のないよう願う事”を一人でも多くの人達が願うようになれば、世の中が幸せな方向に動いてくれるような気がします。自分の想いが誰かに届く……誰かに届ける事で、何かを動かす事ができるという実感を持つきっかけになったのではないでしょうか?早春の空と風が子供達とその方々を繋いでくれたこの出来事は、子供達にとって心に残る大きな思い出になった事でしょう。

年長組の子供達は、間もなくこの幼稚園を巣立ち“小学校”へ入学します。小学校の先生の顔も、友達もまだよくわからない未知の世界です。幼稚園での数々の思い出は、期待と不安が入り混じった気持ちでいるであろう子供達が、希望を持って新しい世界に向かう応援エールになってくれる事でしょう。

その日は、風のまだ冷たい…だけど澄んだ青空の素晴らしい一日でした。私達は、大空を見上げる度にこの日の事とこの子達の事を思い出すでしょう。そして、どうか、いつまでも自分の想いと願いを強く持ちながら生きて行く人になって欲しいと祈り続けるのです。

田房葉子





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