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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『再会』   平成25年9月2日

長い夏休みが終わりました。……でも、今年の夏は、これまでになく暑い暑い夏で、その勢いはまだしばらく続きそうです。どうやら、暑さを残したまま秋に向かいそうです。

皆さん、どんな夏休みを過ごされたでしょうか?子供達はそれぞれにたくさんの思い出をつくりこの2学期を楽しみに迎えた事でしょう。特にお盆休みには、お家の方も日頃より子供達と過ごす時間もとれて、それまでに気付かなかった我が子の成長や変化にも気づき、色んな事を感じられたのではないかと思います。

成長と言えば……お盆には、普段なかなか会えない人にも会うことができます。幼稚園がお盆休みに入る前日の事でした。23年前の卒園児である一人の男の子から「久しぶりに三次に帰って来ました。」とメールが届きました。その男の子は、28歳になっています。私が、年中組の時に担任したやんちゃ坊主でした。私は、どうしても会いたくて「今日、幼稚園においでよ!」とメールを返しました。それから、少ししてその子が来てくれました。私より数段身長が伸びていて(あたりまえですが…)とても“男の子”ではありません。立派な“青年”になっていました。岐阜県で中学校の数学の教師をしているそうです。私は、どうしても、彼が教壇に立って生徒に教えている姿が想像できませんでした。幼稚園の頃は、本当にやんちゃで、個性ぞろいのクラスの中にいて、よく遊び…本当に!よく遊び、よく食べよく喧嘩し、よく泣きよく笑いよくすねる…何度二人っきりの時間をつくり叱った事か…。今でも、その子を叱る時に彼の名を呼ぶ私の声を自分でも覚えています。教師になるなんて思ってもいませんでした。「担任もってるの?」と聞くと「もってるよ。大変だけど面白いよね。」と言いました。「中学生だと、色んな子がいるでしょう。」と私が尋ねると、徐々に自分の教育論を語り始めました。「そうだね。生活面でも、勉強面でも大変な子がいるよ。でも、そんな子にこそいい思いをさせてやらんと、伸びないんだよね。その子自身もだけどクラス全体も…。」ときっぱり言い切るのです。そして、「先生!僕が授業してるのが信じられないでしょ。これ見せてあげるよ。」とスマートフォンで撮った授業風景の動画を見せてくれました。それは、彼が教壇に立って教えているのではなく、生徒同士で一つの問題について、解き方を考えたり、説明や質問をしあっている授業でした。結論が出たところで彼が「よーし!これで理解できたね。みんなで拍手!」と拍手し合って喜ぶ生徒の様子が見られました。「先生が生徒の中心にいるんじゃあなくて、生徒が生徒を囲んで先生はその周りでサポートする。そのほうが、自分の意見や想いをしっかりぶつけ合えるでしょ。」と言うのです。「クラス作りに対するあなたの方針なんだね。」と聞き返すと、彼はしばらく黙って考え「うん。そうだね。そうしたいと思ってるよ。課題を抱えた子こそ、いつか楽しいと思えるようになる生活や授業をしてやりたいよね。」と自分に確認をしたように答えました。そして、「葉子先生もそうだったでしょ。」と言ってくれました。「僕は結構好きな事して、思う事を何でも言って、友達ともそうしながら遊んで、叱られて反省して…。そうやって成長した。」と、あの頃の自分を思い出して話してくれました。「そっか、あの頃があって今のあなたがあるんだ!」と私がおどけていうと、昔と変わらないやんちゃな笑顔で、「そういう事だね。」と二人で笑いました。

人は皆、昔の自分の生き方を振り返って、納得できる部分と反省する部分を認めながら、どこかしら次のステージに活かそうとするのだと思います。自分自身だったり次世代を担う人への教育だったり、様々な場面で心に宿っているものを活かそうと一生懸命に生きていくのだと思います。皆さんも、両親や先生から教えてもらった事や失敗して反省した事を自分の財産にして、我が子に伝えようと子育てされていませんか?ふと(アッ!私が昔、お母さんから言われていた事と同じ事を子供に言ってる)とか、(お父さんがあの時叱ったのは、こんな気持ちだったんだな)と感じることがありませんか?本気で教えられた事は、その後の人生において自分自身の財産になっているのです。生き方そのものになっていくのです。

子供達は今、その財産を少しづつ増やしていっています。家族の存在や自分の周りの環境、そして、関わる人と交わす言動の一つひとつが、子供達の未来の生き方に関わってくるのだと思います。

彼はそれからもいろんな話をしてくれました。楽しい話だけでなく、悩みも打ち明けてくれました。彼は、一人の教育者としても、尊敬できる人になっていました。教育や自分の想いを語る彼の真剣な顔はとても眩しかったです。私も背筋が伸びたような気がしました。彼の生き方の原点にほんのわずかでも、携われていたとしたら、こんなに嬉しくまた、これからの彼の人生への責任を感じずにはいられません。親の教えにも教師の教えにも、人を人として育てる事の責任があるという事を感じさせられた再会でした。

彼は教師として、きっとこれからも立派に一生懸命生きていくと思いますが、そんな子ばかりではないかもしれません……。私達が幼稚園から送り出した子供達が、どこで、どんな人生を歩んでいるのだろうか、みんな心の財産を活かして、どうか一生懸命に生きてくれていますように…。

───いつも、そう願っています。

田房葉子





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