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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『頑張るって楽しい!』
         平成27年11月30日

幼稚園のイチョウやモミジやアメリカンフーの木が紅葉し、色とりどりの落ち葉の絨毯が子供達のあそび心をくすぐります。幼稚園の中で“紅葉狩り”さながらの気分を味わえるとは、なんと贅沢な事だろうと毎年思います。

そして毎年この時季には、もうすぐ行われる“音楽発表会”に向けての取り組みの様子や音が見聴きされるのです。毎朝、園庭の掃除をしていると、早く登園してきた子供達が、鍵盤ハーモニカをロッカーから取り出して、自分のクラスの曲を練習する音が聞こえてきます。曲に合わせて何人かの友達と踊ってはしゃいでいる姿が見えます。取り組み始めたばかりの頃には、それが何の曲なのかいったいどんなものに仕上がるのかと予想がつかないくらいのたどたどしい音が、日に日に、しっかりした音やメロディーになって聴こえてくるようになります。年中・年長組の保育室からは、自分達でハードディスクのスイッチを入れて、曲を流しながらパート別に練習をしているのです。その演奏は、正確ではないけれど、遠くから聴こえてくる子供達だけの練習の音は、とても自信あり気で楽しそうでした。

そんな中、私も練習の様子を見るために、クラスを回っていると、ある年中組のクラスで、たった1回の練習で、「もうしない」とその場からどこかへ行ってしまう男の子がいました。先生が、「上手だよ。もう1回だけやってみようよ!」と言っても、「ううん」と首を横に振ります。その楽器が嫌なわけでも、練習が嫌いなわけでもなさそうなのですが、何度でも頑張ってみるという気持ちになれないようでした。しかし、パート練習から全ての楽器を合わせて練習をするようになったある日、練習場所であるホールにやって来る子供達を待っていると、その男の子が、ニコニコと嬉しそうに入ってきました。自分のポジションに立ち、準備をしているその子は、以前の顔つきではなくなっていました。「じゃあ!始めるよ!用意!」と先生が指揮の手を上げると、全員の顔が真剣になりました。彼も先生の顔をじっと見ています。演奏が始まり、自分のパートを一生懸命に頑張っているようでした。先生の指揮と自分の演奏がバッチリ呼吸が合って演奏できた事で、きっと彼にも“できた!”という実感があったのだと思いました。1曲の演奏が終わると、先生が「すご〜い!みんなで合わせるとこんな風になるんだね。気持ちよかったね!」とたくさん褒めていました。きっと、ここに至るまでのクラスでの練習期間のうちに先生と一緒に頑張りながら少しずつ自分なりに手ごたえを感じ、自分の音が、この演奏の中でどう生きているのか、自分の音があることがどんなにその1曲を素敵にしているのかを感じることができたのでしょう。

何事も、やり始めは、これがどうなるのか先が見えず、不安なものです。手ごたえや成果が感じられなかったら、このままでいいのだろうか?と気持ちを100%それに向けるのがしんどくなります。いつでも、引き返せるように自分で片足を後ろに残しておきたくなるのです。でも、その時期を乗り越えないと、その手ごたえは求められない……ここが、正念場です。迷いも努力も必要としない楽しい事ばかりが世の中で自分を待ってくれているのではありません。自分に課せられた責任や目標に向かって行く強い力をもって挑んでこそ初めて得られる“楽しさ”もある事に気付いて欲しいと思います。

実は先生達も、新年度が始まってからすぐに、この取り組みの策を静かに練っていました。先生や友達との練習は、上手くいく時といかない時といろいろあります。でも、きっと子供達の心の中にどんな形でも成長に繋がるという確信をもって取り組んできました。迷う子供達を…不安でいる子供達を「大丈夫!きっとできるよ!きっと楽しいよ!」と安心して挑める気持ちに導いていきます。

先生の指揮と自分の演奏する音がピッタリ合った時、先生が「そうだよ!できてるよ!」と目で言ってくれたら、とても楽しくなって来て自分でも心の中でガッツポーズ!!そんなみんなの心が集まって、ステージがつくられます。いい演奏をするために練習をするのではなくて、それまでの取り組みの様々な経験や心の葛藤の中で見つけていく楽しさを表現した結果、素晴らしい演奏になるのです。

頑張る楽しさを見つけた彼のお母さんがお迎えに来られたある日、「すごくやる気で練習が楽しそうですよ。」と伝えると「家でも、よく話してくれるんです。本当に頑張っているんですね。朝も早く行くんだ!と張り切っていて……。」と言って喜んでおられました。その男の子の生活の中にも楽しいリズムができたのです。 

音楽発表会に向けて取り組んで来たこれまでには、どの学年のクラスにも様々なドラマがあったようです。“頑張るって楽しい!”という事を知った子供達は、きっとこれからずっと、心の中にいろいろな形で力となり宿り続ける事でしょう。

12月3日と4日の二日間は、そんな子供達の自信に満ちた姿、先生と子供達のこれまでに積み上げてきた素敵な空気を観て感じていただける事と思います。踊ったり、演奏をしたりする数分のステージだけでなくこれまでの取り組みの中に様々な出来事があり、それを経てきたこの全ての時間に、温かい拍手のご褒美をたくさん送ってやっていただきたいと思います。

田房 葉子





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