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幼稚園からのおしらせ
幼稚園からのおしらせ

学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 葉子せんせいの部屋 りす





『あなたが大切だから』平成28年11月30日

今月の初め、18年前に卒園した教え子達が同窓会をしてくれました。24歳になるもう立派な大人です。その年の子供達を担任した先生は、年少・年中・年長の3年間全6クラスを通して一人退職しているだけで、全員現役でいます。(これは、これで凄い事?)その先生達みんなで招待を受けて出席しました。

卒園児達が集まっている部屋に行くと、名乗ってもらわなければわからない程大人になっていて驚きましたが、すぐに当時の顔と重なり一瞬にしてあの頃のそれぞれの子供達の思い出が甦り、先生達と卒園児達の会話は弾みました。そして、一人ひとりの近況報告と幼稚園の思い出を語ってくれました。みんなそれぞれに、ちゃんとした社会人として立派に生活している事に先ず安心をしました。そして、「発表会で太鼓がしたかったのにできなくて残念だった」とか「太鼓橋にブルーシートをかけて水のすべり台を作った事が楽しかった」とか「○○マークだった」等、いろいろな思い出を語ってくれ、(あぁ、そんな事もあったなぁ。)と先生達はみんな当時を懐かしみました。そんな中、年長の時に私が担任をした男の子“こうちゃん”が「僕の中のイメージではあまり怒らない葉子先生に、友達の足をひっかけたか何か意地悪をしてめちゃめちゃ叱られた事があった。」と思い出して言ってくれました。“あまり怒らない葉子先生”だったのでは決してなく、その子を叱る必要が全くないとても良い子だったのです。その時の事は、私もとてもよく覚えています。

それは、卒園を3週間後に控えた頃でした。そんな事をする子ではないと思っていた彼の行動に驚き、私は、すぐに彼を呼んで話を聞きました。しばらくは何も言わずに下を向いたままでしたが、「先生は、今、びっくりしてる。こうちゃんが、あんな事をするなんてショックだよ。訳を話して!」──。私自身もどう叱っていいのかと探りながらの時間だったように思います。すると、涙をグッとこらえながら「○○君がやれと言ったから……。」と正直に言いました。私は、それを言った子にも勿論叱り、クラス全体の問題として考え合いましたが、こうちゃんには違った意味で叱りました。「こうちゃんはそれが良い事だと思ってしたの?それで、みんなが楽しくなると思ってしたの?」と聞くと、首を横に振りました。私は、(じゃあ、何故、その時に自分で考えて正しい行動に移せなかったのか?!何故、それはいけない事だと言えなかったのか?)と正義の心が勝てなかった彼の事を見逃す事はできず、今ここで、正さなければ!と思いながら本気で叱りました。その時、私は、これまでに積み上げてきたつもりの“仲間意識”の指導不足だったのだろうか?と、悲しさと悔しさと情けなさで涙が出ました。ちょっとしたいたずらだったのかもしれないけれど、悪事を断れず自分の立場を守り人を傷つける…そんな人になって欲しくない!自分の考えや行動に自信や責任の持てない大人になって欲しくない!という一心で真剣に叱ったのを覚えています。こうちゃんも、クラスの子供達も、必ずわかってくれると信じて一生懸命話しました。その後で、しばらくしてこうちゃんに指示した子が「先生…俺、いけなかった。こうちゃんにあやまらなきゃいけない。」と私の所に来て言いました。私は、二人を呼んでお互いに反省した気持ちを聞きました。涙を浮かべて話す二人を思わず抱きしめてまた泣いてしまいました。

翌日、こうちゃんのお母さんが、連絡ノートに、こう書いて持たせてくださいました。『今日は大変お世話になりました。………………………先生が愛情いっぱいに叱ってくださったんだなと嬉しく思いました。ありがとうございました。』こうちゃんが、迎えに来られたお母さんに、家までの車の中で自分から、叱られた事とその時何故だか少し嬉しい気持ちになったと話した様子が書かれてありました。私は、それを読んでまた涙…。私の気持ちをこうちゃんがちゃんと受け入れてくれた安心感と、お母さんが叱られた我が子をしっかりサポートしてくださった事に感謝しました。その後、ある子が、「僕、こうちゃんの事信じてたよ。今日も元気で幼稚園に来るってね。」と私に言いました。こうちゃんが、叱られたせいで幼稚園に来たくないとか言うんじゃないかと、子供達の中では心配していたようでした。私は、クラスの一人ひとりの子供達にとって、そして私にとってあの時間はとても大切な時間だった事を感じ、忘れられない思い出になっています。その時の連絡ノートは、私の先生としての道標の一つとしてコピーをとらせていただき今でも大切にしています。

彼は、今、立派な社会人として頑張っています。大切な子だったからこそ真剣に叱った事、どんな想いで叱ったか、そしてこうちゃんがどれだけ家族の人や友達から大切な人として愛されていたかを18年経った今、あらためて感じてくれていたら嬉しいです。

ある先生が、部屋に男の子と二人きりで顔を見合わせて話し込んでいるのを見ました。先生は泣いていました。涙が出る程、その子に良い子になって欲しいと願っているのです。大好きな先生が涙を流しながら“良い子になって!”と言ってくれる姿に男の子は何かを感じていたでしょう。また、ある先生が、遊具の取り合いになり喧嘩をしている二人を同時に抱きしめながら膝の上でゆっくりと優しく言い聞かせていました。どちらにも言い分があり、どちらの気持ちにも寄り添いながら、友達の声に耳を傾ける事の大切さを教え、それができる子になって欲しい!と願っているのです。

あなたが大切だから、真剣なのです。

あなたが大切だから、叱る時もほめる時も、一生懸命なのです。

そんな気持ちで向き合えば、きっと子供達にも伝わります。だって、子供達にとっても、お父さんやお母さん、そして友達や先生はきっと大切な人ですから。

もうすぐ、幼稚園では『大切なもの』をテーマに掲げ、音楽発表会が行われます。先日お渡ししたプログラム裏の歌詞を読み、子供達と先生がこれまでに築いた信頼関係のもと、クラスのみんなで…そして、幼稚園全体で頑張って来た様子を感じとりながら応援していただきたいと思っています。
 
 ♪大切なもの
作詞・作曲 山崎 明子

1、空にひかる星を 君とかぞえた夜
あの日も 今日のような風が吹いていた

あれから いくつもの季節をこえて 時を過ごし
それでも あの想いを ずっと忘れることはない

大切なものに 気づかないぼくがいた
今 胸の中にある あたたかい この気持ち


2、くじけそうな時は 涙をこらえて
あの日 歌っていた歌を思い出す

がんばれ 負けないで そんな声が聞こえてくる
ほんとに 強い気持ち やさしさを教えてくれた

いつか会えたなら ありがとうって言いたい
遠く離れてる君に がんばる ぼくがいると

大切なものに 気づかないぼくがいた
ひとりきりじゃないこと 君が教えてくれた
大切なものを・・・・
 
田房葉子



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