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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『ずっと応援団』 平成29年2月28日

幼稚園の花壇から、チューリップが小さな芽をのぞかせています。土の中にかくれていた生き物達は、園庭で遊ぶ子供達の元気な声や保育室から聞こえてくる可愛い歌声を耳にしながら、長い冬の間、この時季を待っていたのでしょう。春ですよ〜。もういいかい?そろそろ目を覚まそうかな?と……。

今月の初め、幼稚園に嬉しいニュースが届きました。休日に、卒園児が結婚の報告に来てくれたのです。新郎となる子も新婦となる子も20年ほど前に卒園したふたりです。理事長先生(当時の園長先生)にだけ報告に来るつもりのふたりを、その子達の事を知る先生みんなで迎えよう!と園長先生が声をかけ、完全サプライズで「結婚おめでとう!!」とみんなで出迎えました。そんな事を知らなかったふたりはとても驚いていました。「なんで?なんで先生達までいてくださってるんですか?」「嬉しい!ありがとうございます!」と涙を流して喜んでくれているふたりを見ながら、私達もここで過ごしていた当時のふたりの事を思い出し、私達の知らないこの十数年の間の、どこでどうなってこうなったのか、その不思議なめぐり合わせに何とも言えない幸せを感じました。

それから、数日後、ある親子が平田美穂先生を訪ねて来られました。美穂先生が年長組の時に担任した現在小学校6年生の男の子とそのお母さんでした。その男の子は、幼稚園の頃ずっと声を発する事なく過ごした子でした。歌う時も話す時も、みんなの中では決して声を出さないのです。家では普通に喋れて大声で歌ったり笑ったりできるのですが、集団の中では頑なに口を閉ざしていました。美穂先生はいろいろな方法やきっかけを作って声を誘おうとしましたが、小声も出してくれませんでした。でも幼稚園は好き!先生の事も好き!当たり前に園生活を友達に囲まれて過ごしました。美穂先生は彼のペースを守っていこうと、無理させないようにみんなと同じように接し、彼なりのプランで経験させていたように覚えています。お家の方ともよく話をしながら、どうしてあげたらいいかと模索していました。でも、決して悲観的ではありませんでした。周りの者も楽な気持ちで見守る姿勢でいようと家庭と連携をとっていました。しかし、彼は最後まで声を発する事なく卒園して行ったのです。小学生になってもずっと同じような状態だと聞いていました。そんな親子と美穂先生が久々に会い園庭で長い間話し込んでいました。そして、しばらくして職員室に戻って来た美穂先生は涙で目を真っ赤にしていました。「もう!どうしよう!幸せすぎて怖いくらい!嬉しい!!」と泣いていました。話を聞くと、卒園して6年経ってやって来たその男の子が、「美穂先生に報告があるんでしょ?」というお母さんの誘いに促され、「……喋れるようになりました。…」と声を発してくれたというのです。美穂先生はどんなに驚いたでしょう。どんなに嬉しかったでしょう。これまでずっと心の中に彼の事があったはずです。気にかけていた子が自分の声を聞いて欲しくて…話せるようになった自分を見てほしくて幼稚園に来てくれた事…“幸せすぎて怖いくらい”と思わず言った美穂先生の気持ちが伝わって来て、私も胸が熱くなりました。美穂先生は「声を聞いた時、涙が溢れそうだったけど、グッと我慢しました。」と言いました。それを聞いて、幼稚園にいた頃の彼に対する美穂先生の見守り方が、今なおブレていない事を感じました。“声を出せないあなたも他のみんなと何も変わらない。待っているから…話せるようになった時でいいよ。その時にあなたの持っている声を聞かせてくれたらいいよ。”“彼のペースを守りたい”という想い、(あなたはみんなと何も違っていないんだよ)という気持ちで接し続けたかったのだと思います。彼はそんな美穂先生の想いを受け、今まで、口は閉ざしていても心は閉ざしていなかったのです。しばらく話して別れ際に、美穂先生が「じゃあね。さようなら。」と言うと、「さようなら」と静かに答えてくれたそうです。ずっと聞きたかった彼の声でした。その親子が帰ってから美穂先生はこらえていた涙が一気に溢れたのだと言いました。小学校の卒業式で、名前を呼ばれ「はい!」と返事をして卒業証書を受け取る彼の姿をその当日思い浮かべ、遠くから拍手を送る事にします。

同じ日、ある小学校の先生が幼稚園との連携のために来園されました。その先生は、美穂先生が年長組で担任した卒園児でした。立派になった卒園児に目を細めました。きっと優しい先生なのでしょう。あの頃とちっとも変わらない笑顔が印象的でした。

結婚する報告に来てくれた卒園児も年は違うけど、ふたり共、美穂先生が担任した子供達です。不思議なほど嬉しい訪問者が続き、「本当に幸せな事が最近たくさんあって…怖いくらい」と…涙する美穂先生を見て思ったのです。子供達の長い人生のスタートにしか携わる事のできない私達は、見えないゴールに向けて、素晴らしい人生を切り開いてくれるようにと祈り続けたり、心で応援したりするしかできない。幸せになる事を信じてエールを送り続ける応援団でいたいと……。

間もなく、年長組の子供達は、幼稚園を巣立って行きます。ここに、あなた達の人生が素晴らしいものであるようにとずっと願っている先生達がいます。あなた達の幸せを自分の幸せのように涙を流して喜んでくれる人、あなた達の苦しみを和らげてあげる事が出来ればと待っている人がここにいます。忘れないでいてくださいね。

田房葉子



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