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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 葉子せんせいの部屋 りす





『『ある一日』      平成30年2月28日

節分を境に春が訪れるという事ですが、それは暦の上の事で、今年は全国的に記録的な大雪となり、しばらくの間は降雪情報から目が離せない日が続きました。

休眠打破──桜の開花の準備は夏の内に始まります。花芽の形成です。その後一旦休眠して活動を止め、冬の間にしっかり寒さにさらされます。春温かくなった時に休眠していたその花芽が成長して開花するのです。休眠の間が寒ければ寒い程……寒さに耐える程、気温の上昇と共に、早く綺麗に開花するというのです。今年の桜の開花は早いのかもしれませんね。

氷点下の日が続いていたある日の事です。職員室で仕事をしていると、職員室のガラス戸から可愛い小さなふたつのシルエットが、職員室前のテラスを行ったり来たりしているのが見えました。あまりにも可愛いシルエットだったので、そ〜っと隠れて様子を見ていました。満3歳児(さつき組)の男の子ふたりでした。どうやら、2階にある年長組の保育室に繋がる非常用外階段を上がりたかったようでした。ひとりの男の子は、普段上がってはいけない階段だと知っているので、「いけないんだよ!そこを上がっちゃあダメなんだよ!」と一生懸命に止めようとしています。その声を聞かぬ振りしてもうひとりの男の子は階段を上がって行きます。そのやり取りがなかなか終わりそうになかったので、「あらら、どうしたの?」と職員室から出て行き、声をかけると、既にひとりの男の子は上まで上がっていました。上から私を見下ろす顔がキョトンとして可愛かったので、つい笑ってしまい、「そんなに上がりたいの?何かおもしろいものでもあるのかな?」と言うと、私の笑った顔を見て(まんざらダメでもなさそうだ)と思ったのでしょう。引き止めていたもうひとりの子も私の顔を見ながら、じわじわとその階段を上がって行きます。きっとふたり共階段を上がりたかったのです。いけないと知っていても、興味津々だったのです。私が「じゃあ、葉子先生が一緒に行ってあげよう。」と言うと、一気に駆け上がりました。3人で探検です。2階にある年長組の部屋を通って年中組、年少組へと楽しそうに小走りで園内を周りました。そして、やっとさつき組の前まで帰る事ができました。途中、たくさんの先輩に「どうしたの?どうしてここに来たの?」「どうして葉子先生と一緒なの?」と声をかけてもらっていました。皆、小さなさつき組さんが可愛いので、自分の身体を小さくして話しかけてくれました。事情を話すと、「ふ〜ん、そっかそっか」と頭をなででくれる子もいました。ある年長組の子は「あのね、こっちからじゃあなくて、向こうの階段からならいつでも来ていいんだよ。」と正しい道を教えてくれました。年中組の子は「これ、見てごらん」と言って、部屋に作って置いてある物を手を引いて見せてくれました。歓迎されている気持ちになって、ふたりの男の子は満足気でした。その後、さつき組の担任の先生にその事を話すと「おかえり」と笑顔で迎えてくれました。「どこ行ってたの!!」と叱るのではなく、「今度、みんなで行ってみようか」と言ってくれました。そして私に「きっと、お姉ちゃんが年長組にいるから2階に行ってみたかったんだと思います」と言いました。先生は、その子達の事や行動をちゃんと理解していたのです。

幼稚園の園庭は、子供達が朝登園してしばらくは、元気に遊ぶ声で賑わいます。10時頃になると、保育室に入りそれぞれにクラスで目的のある活動をします。園庭は少し静かになります。そこを狙ったかのように遊び始めるさつき組。それまでは、使いたい遊具や遊びたいスペースも、勢いある先輩達に圧倒されてできなかったりしますが、誰もいなくなる時間こそが小さなさつき組さんにとっては存分に遊べる時間のようです。ストライダーだって、坂道を見つけてブイブイ走らせます。雪どけの園庭だって泥んこになって遊びます。小川や山で尻もちをつきながら遊びます。仲良くしたり喧嘩をしたり身体や服を汚したり濡らしたりしながら、お腹が空くまで遊びます。担任はというと、時に近くから…時に遠くから…全体を見渡し子供達の声に耳を大きく傾けて見ています。見守っているのです。困った事が発生した時には子供達が「みほせんせ〜い!」と助けを求めに行きます。求めて行きたい時には必ずそこにいてくれるのです。

その時、ここは、なんて温かい環境なんだろうと思いました。子供達にとっては、未知な物、未知な事がたくさんあります。未知のまま素通りするのではなく、あえて出会わせ色々な事や色々な人と関わり、そこで知り、そこで考えるいい機会にしてあげる事が『教育』であり、子供にとっては『学び』だと思います。幼稚園はその学びが保証された場所だと考えています。“見守る事”“子供の事を知って守る事”“先を読んで守る事”が必要なのです。良い事も悪い事も思う存分に遊び込むうちに、色々な人や出来事によって教えられます。「先生はここで見ていてあげるから、やってごらん。とにかくやってみてごらん。」という眼差しを子供達に向け続ける事で、子供達は、安心して自ら経験しようとします。学べるチャンスを手にする事ができるのです。幼稚園には、満3歳児から5歳児までの子供達が生活を共にしています。それぞれの年齢に合った未知なる物や経験に出会い成長していきます。先輩に憧れて真似をしてみようと挑戦したり、後輩の気持ちを汲み取りいたわりながら教えてあげたり助けてあげたりしながら、共に大きくなっていくのです。そんな生活を幼稚園全体で見守る──この環境こそが幼児期の子供にとって必要な学び舎だと思います。

間もなく、その学び舎で生活をしてきた年長組の子供達59名が巣立って行きます。生きる上で大切な“人としてのベース”をこの幼稚園の様々な経験の中で培ってきた子供達です。このベースの上に人生の休眠打破ができるだけのたくましい力を積み上げてくれる事を祈りながら、私達は、これまでと変わらず同じ気持ちでずっと、見守っていきたいと思っています。

田房葉子





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