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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『心のおまもり』       2019年1月8日

 明けましておめでとうございます。“平成最後の……”といろいろな場面で使われるフレーズですが、正に、平成最後となるお正月をどのような気持ちで迎え、過ごされたでしょうか?今年の4月30日で『平成』の幕が閉じられ、5月1日から新元号が施行されます。その日がじわじわと近づいている事に、平成を振り返り次の時代への心づもりをしながら、様々な感情が湧いてきます。そういった話が特別な思いで家族とできたとしたら、新しい年を迎える気持ちもいつになく引き締まったものになるのではないかと思います。子供にはまだわからないと思うのではなく、『平成』と次の元号を生きる次世代の立派な人材の一人として、幼い子供達なりにちゃんと理解できるように話をしてあげて欲しいと思います。今年も皆様にとって明るい幸せな年になりますように……。そして、どうぞよろしくお願い致します。

 さて、先月行った音楽発表会では、子供達のそれまでの頑張りや充実感と当日の達成感と一人ひとりの成長を感じ取っていただけたものと思います。どのクラスにも取り組みの中に心温まるドラマや可愛いエピソードが詰まった発表でした。表舞台に立つ子供達には感動的ですが、実は裏舞台でもそこにはない感動をみる事が出来ます。緊張や興奮、友達と交わすエール、お世話をしていただくPTA執行部さんと協力隊のお父さん方の声かけ、そして、先生達の子供達の全てを包み込む温かく強く深い繋がり──これらを目の当たりにし全てが感動でした。そんな幾つかある出来事の一つにこんな事がありました。二日間ある本番の一日目、それまでの練習では全く心配していなかったのに、何かの気持ちの調子が万全でないままステージを迎えてしまった年長組の男の子がいました。ステージの幕が開いて先生の指揮が始まると、普段通りの素敵な演奏が聴かれるはずでした。しかし、決まった小節の初めや終わりに鳴るはずの楽器の音が聴こえてきません。それは、彼の担当するパートでした。私も傍で励まし続けましたが、なかなか普段の気持ちを持ち直す事ができませんでした。時々、少しだけ自分で手を動かし小さな音を出しましたが、あの時の彼はそれが精一杯でした。クラスの子供達は、その事態がわかっていて、実に一生懸命に彼をカバーしながら、心配しながらも演奏を続けました。それはそれで感動でした。発表会終了後、彼のお父さんとお母さんに伺うと、そうなる思い当たる事はいろいろあって、ちょっとしたきっかけで、万全な状態にならなかったようでした。きっと彼の中でもはっきりした原因が説明できず、張り切る気持ちと裏腹に緊張や不安が入り混じっていたのでしょう。「どうして?」と聞かれても…「○○だから…」と言えるものではない何かと必死に戦っていたのかも知れません。普段通りにできない事を悔しく思いながら、あのステージの上で自分と葛藤していたのです。そして、二日目を迎えました。「今日こそは、普段の彼のままで、みんなと演奏させてあげたい。」と担任をはじめみんながそう思っていました。そして、ステージに上がって来た彼の顔は昨日とは全く違い、友達とワイワイ言いながら嬉しそうにスタンバイしたのです。そして、見事に演奏をやり遂げました。クラスの子供達も達成感で一杯だったようでした。それから、幕が閉まってすぐに彼が私に「今日は、頑張れた!どうしてかわかる?」と聞いてきました。昨日とは打って変わって晴れやかな表情でした。「どうしてだろう??」と聞き返すと「あのね、朝ね、手のひらに“人”っていう字を3回書いて飲み込んだからだよ。お父さんが教えてくれたんだ。そうしたら頑張れるって言って。」──お父さんと幼稚園に向かう車の中で、そんな話をしてもらったようでした。前を向いて運転するお父さんは、きっと時々彼の反応をチラチラ見ながら、大げさではなくサラッと…でも心中は祈るような気持ちで、その時の空気を大切にしながら話されたのではないでしょうか?私は、「お父さんが教えてくれたんだ。」と健気に話してくれる彼が愛おしくて可愛くて、つい抱きしめてしまいました。自分でも説明できない不安な気持ち、昨日のステージの経験が、彼の中で辛い思い出にならないように、むしろその経験をバネに変えて欲しいと願う気持ちで一杯だったので、「できた!」と嬉しそうにお父さんとのやりとりを話す顔に色々な気持ちが湧いて来ました。「どうして?」と聞かれても「○○だから」とはっきりとした原因や答えが出せない時に、その原因を探られ必要に迫られたら、気持ちを切り替えるきっかけを失います。彼のお父さんは、あえて、そこには触れず「いい事を教えてあげよう」と昔から言い伝えられているこのおまじない(科学的根拠があるようなないような…迷信)を彼に教えてあげたのです。それは、彼にとってよりどころとなる“お守り”になったのだと思います。そのおまじないによって、自分の中の何者かが元気よく力を出して自分を奮い立たせてくれる──そう思える事ができたのでしょう。その時の父子を包む空気がとても温かかった事を想像して、素敵な父子関係だなぁと胸が熱くなりました。「がんばれ!がんばれ!」よりも、彼にとっては静かに“お守り”を心の中に渡してもらえた事で、いろいろな想いを解きほぐせたのでしょう。

後日お父さんに聞くと、「あの日(一日目)、あまり朝食を食べていなくて、お腹が空いていたのも原因かなと思って、二日目の朝は大きなツナマヨのおにぎりを一つ作ってやったんです。それを食べさせた後、車の中で……」という事でした。彼にとって、お父さんが作ってくれたその大きなおにぎりとおまじない──それは、愛いっぱいの『心のお守り』だったのです。

田房葉子





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