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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『学ぶおもしろさ』      2019年2月28日
 
気が付けばもう3月…。例年なら、節分から立春を迎え、春が訪れる…と思いきや、2月の終わりに寒の戻りのなごり雪──。寒さ嫌いの私でも、毎年、その情景に風情を感じていましたが、今年はそのなごり雪も見ずにこのまま春に向かうのかもしれません。この現象が良いのか悪いのか、時代の変化に合わせていろいろな事が変わって行くように、自然のサイクルまでが変わって良いものなのか?と少し心配しながらも、芽吹く春を待ち望んでいます。

 先日、凄く寒い朝、年長組の豊川祐美子先生が「葉子先生!氷ができていたんです!子供達が喜んでいます!見てやってください!」と嬉しそうに私に教えてくれました。どうやら子供達と寒さの中で氷ができるかどうかを確かめたくて、外に水を張った入れ物を置いて実験(?)していたようでした。見てみると、確かに薄い氷が張っていました。数人の子供達がそれを囲んでいろいろと話していました。「寒かったら氷ができるんだよ。」「だけど、毎日寒かったのに、今まではできてなかったじゃん。」「すご〜く寒い日しかできないんだよ。」「すご〜くってどんなに?」「すごく…って……すごくよ」「でも、もうすぐ溶けるよ」「どうして?」「段々あったかくなって来るから。」「でも寒いよ。」「太陽が出たら溶けるよ。」「太陽が出たら溶ける?」「あ〜、出ないでほしい。溶けてほしくないよ〜。」「触ったらだめよ。溶けるから。」「手があったかかったら溶けるよ。」「太陽はまだ出てないけど?」……と長い間話をしていました。どう納得してその“氷談義”が終わったのかは、わかりませんでしたが、その時の子供達はみんなのいろいろな話に耳を傾けながら“氷”が出来たり溶けたりする現象の不思議を 自分なりに想像を膨らませて考えていたのだと思います。

 昨年の秋に京都大学の本庶 佑特別教授が、ノーベル医学生理学賞を受賞されたニュースで賑わいました。がんの新治療薬の元となる分子発見(難しい事はよくわからないのでこの辺で…)の功績が世界的に認められた素晴らしいニュースでした。私は、わからないなりにも、一生懸命にそのニュースに関心を寄せて観ていました。(世の中にはとてつもなく頭の良い人がいるものだ。人並はずれた知能知識の持ち主──。いったいどんな人なんだろう?)と興味津々でした。受賞後の記者会見で、本庶特別教授は、おもしろい事を言われました。「私は、学生には“教科書を信じてはいけない”と伝えている」と…。私は、それは、一般人には通じない言葉だ。元々頭の良い人だけが言える言葉だな〜と思って聞いていました。でも、そう言い切れる人ってかっこいい!そして、まぎれもなく新薬の開発の貢献者!どんなにその新薬を待ち望む人が世界中にいるだろうか…とありがたい雲の上の人の言葉を聞くように、ただただ凄い!凄い!と思っていました。しかし、その後、本庶特別教授の“教科書を信じてはいけない”という言葉をiPS細胞でノーベル医学生理学賞を受賞された山中 伸弥教授がわかりやすく話しておられるニュース番組を観た時、(これって、私達だってそういう気持ちを持っていれば、子供達に楽しく学ばせる事ができるんじゃないかな?学問の入り口はここなんじゃないかな?)とストンと落ちるものがありました。

 山中教授は、「我々研究者は、いつも“型破り”な事に挑戦しようと思っている。そのためには先ず“型”を知らなければならない。それを知った上でその“型”を破るべく挑戦して行くんです。その“型”こそが基礎知識となる“教科書”なんです。この基礎知識なくして何かをしようとするのは“型破り”ではなく“形無し”です。」と……。それを聞いたら、なんとなく、勉強をする意味や知識を増やす意味がわかるような気がしました。年長組の子供達が、氷を囲んで話している事が、答え無き答えでそのまま終わった話が、これから小学校に行き、教科書で基礎知識を得て、さらに、(それって本当?)とか(もっと違った事があるかも)と“型”を疑ってみたり、それだけが正解だとは限らない…と逆らってみたりしながらどんどん違うものの見方や考え方を増やして行き、それが、新しい世界を見出す力に繋がり得るかもしれません。学者レベルでの話ではなく、どこかでその力が活かされるはずです。私もこれまで生きて来て、勉強しながら、「何のためにこんな勉強をしなきゃいけないんだ?この勉強って将来何の役にたつの?」と何度思った事でしょう。

 日本の歴史も、どんどん塗り替えられています。そう信じられて来た事が、いろいろな新たな発見や疑わしき事が出て来て、教科書の歴史用語や歴史上の人物の名前の表記が変わったり、消えたりしています。この事でも、教科書に書いてある事がずっと神話の如く正解ではなくて、これが本当に正しい事なのかな?と、それを立証するために調べ、歴史が塗り替えられて行くことにとても興味が湧きます。“型”を学び、そこに食いついてみる事は、面白い事なのかもしれません。
 年長組の子供達は、4月から“勉強”をしながら大きくなります。これから先、どれ程たくさんの“勉強”をしないといけないか。少し気が遠くなりますが、先ずは“型”を得るために、一生懸命に楽しく勉強をして欲しいと思います。新しいランドセル、新しい制服……そして、友達や先生、全てが新しい。その環境はきっと子供達の学びの基礎になる場所のはずです。それをベースにしながら、進化する事を楽しめるようになるのでしょう。そして、子供達にとって、これまで過ごして来た幼稚園での生活はまさに“型”を学べたり興味をもてたりする材料の宝庫だった………いつか、そう感じて欲しいと願いながら、もうすぐ巣立つ日を迎えます──。

田房葉子





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