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幼稚園からのおしらせ
幼稚園からのおしらせ

学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 葉子せんせいの部屋 りす





『はんぶんこ、じゅんばんこ』平成30年7月18日

西日本豪雨における大災害で亡くなられた方々に謹んでご冥福をお祈りします。また、被災された方々におかれましては、先の見えない落ち着かぬ日々をお過ごしになり、その日その日のご苦労を思うと心よりお見舞い申し上げ、一日も早く日常の生活が取り戻せますように…と祈るばかりです。自然の恵みを受けて私達は命を?いでいますが、時として、その自然と人とが共存する難しさを思い知らされる事があります。西日本の復興を信じて、どうか、心を強く持ち続けられますように……。

さて、今日で、幼稚園は1学期を終えます。この間、子供達は個々に、また、集団の中の一人としてどんな成長をしてきたでしょうか?

個々の成長はお家での我が子を見れば、こんな事もできるようになった、考えられるようになった、言えるようになった、こんなに身体が大きくなったetc…とわかる事がたくさんあると思います。そして、その成長を喜んでおられる事でしょう。では、集団の中の一人としての我が子はどんな成長をしているかな?──これは、なかなか見えにくい所ではないかと思います。

この1学期間、幼稚園という集団の中で子供達は様々な経験をしながら園生活を過ごして来ました。それは、今、目に見えてわかる成長ではなくこれからの人生に繋がる成長の一つ一つなのです。年少組で言うと、それまで家族の中で自分がほぼ中心になっていた生活から、子供達にとっては“ちょっと窮屈な生活”になりました。自分と同じような生活をして来ていて、同じような事を考え、心身共に同じような者が集まり、なかなか思い通りにならない社会に入りました。自分だけのために先生がいて、自分だけのためにおもちゃや絵本があって、自分のために時間が流れているのではない事を知ったのです。

先日、園庭から「おまけのおまけのきしゃぽっぽ、ポ〜っとなったら代わりましょ。いち、に、さん、し、ご、……じゅう!ポッポ〜!」か〜わって!」「いいよ」と言う子供達の声が聞こえて来ました。ブランコを交代する時の約束のかぞえ歌です。行ってみると、年少組の子が数人遊んでいました。数えている子はちゃんと並んで座っています。ブランコに乗っている子は、その合図で交代しています。もっともっと乗りたいけど、そのルールは守ります。乗りたい子はもう一度並びます。また、違う所では、ストライダーをめぐって「貸して」「いやだ!」、砂場の道具の奪い合い、部屋の中では、限られた数の物を「あの子は多い!ぼくは少ない!」──。上手く遊んでいると思いきや、泣いたり、怒ったり…と、いろいろな所で“交代劇”が繰り広げられています。しばらくもめて、「じゃあ、もう少ししたら代わってよ!」とか「これをはんぶんこにしようよ」と子供達の中から声が聞かれます。時には「今度は僕の番だよ!」「代わってよ!」と泣きながら訴えて提案?しています。しぶしぶでも「わかったよ!」と交代したり分けてあげたりします。なんやかんや言っても、そうする事が一番の解決策でみんなが仲良く過ごせる方法だとわかっています。わがままが通らない場所だと分かって来たからです。

こんなふうに、集団でいる時間をいかにみんなで楽しく過ごす事ができるかを“ちょっと窮屈な生活”の中で方法を模索しながら学んで行きます。限られているモノなら、『時間』も『物』も分け合う事で仲良くできる事を知って行きます。年中組や年長組でも、年齢や経験によってその対象となる物や頻度や種類は違ってきますが、このような同じ経験を積み重ねて、人と交わって生活する事の意味について学んでいきます。これが、ただ単に『時間』や『物』を分け合う行動そのものだけではなく、自分さえよければいいのではない、人のために社会のために自分はどう成せばいいのか、という倫理観を身につけているのです。そんな大げさな!と思われるかもしれませんが、子供達は、遠い遠い先に自分達で考え自分達で行動し自分達で社会をつくって行かなければならない大切な人材です。その人材を今、私達は家庭と幼稚園で育てています。この小さな経験と心の動きが、大切な第一歩になっている事を知りながら、この1学期の子供達の様子に“人生分の1”の成長を感じて欲しいと思います。

今まさに、この度の西日本豪雨で、被災された方々の姿や場所や、それを直接的に自分の時間と身体を使ったり、あるいは間接的に支援しているボランティアの人達、救護に当たられているたくさんの方々の姿が報道されています。そして、私の住む町三次でも、あちらこちらでその被害を受け、日常の生活を取り戻すためにたくさんの方々の力や言葉に励まし励まされながら2週間目を迎えています。これらの様子一つひとつに、人として大切な事を幼い頃から学べて来た人達の姿が重なって見えるのです。幼稚園での子供達の様々な感情が入り混じった“交代劇”が、いずれ、『人のために…社会のために…』の倫理観に繋がるという事、そしてそれがいつか自分のために巡って来るかもしれないこの人間関係のサイクル──“お互い様”“持ちつ持たれつ”を学ぶ事にも繋がるのです。「はんぶんこ」「じゅんばんこ」etcこれらは、幼い子供達にとって、集団の中でこそ学べるコミュニケーションのキーワードかもしれません。

田房葉子





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