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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす りす



『子供同士のチカラ』  2022年11月30日

この11月には、皆既月食と天王星食を観る事ができました。月食と惑星食を同時に観測できるのは、1580年7月26日の土星食以来442年ぶりで、次に見る事ができるのは322年後というよくわからない数字に「これはぜひ観ておかないと!」と楽しみにしていました。仕事帰りの空にはすでにきれいな月が浮かんでいました。二度と見る事がない天体ショーに寒さそっちのけで、家の外へ出て見たりテレビの生配信を見たりしてしばらく楽しみました。“月にはうさぎが住んでいて、おもちをついている”と信じている子供達のロマンがわかるきれいな秋の天体ショーでした。

さて、三次中央幼稚園では、毎週木曜日に未就園児とその保護者を対象に『育児サークル』として1時間程園庭開放をしています。この秋は毎週天気も良く、たくさんの親子が幼稚園に遊びに来てくださっています。その間には幼稚園の先生による歌あそびや絵本の読み聞かせ等をして楽しんでいただいています。そんなある木曜日の事です。育児サークルに来てくれていた男の子が園庭の小川に落ちてしまったのです。足とおしりが濡れてしまってビックリしました。お母さんは慌てて抱き上げられました。その男の子は、怪我はなかったものの、周りの人の驚いた声と小川に落ちた事への怖さで泣いていました。その様子を近くで見ていた年長組の子供達が、その男の子に走り寄って行き、「大丈夫?」と心配そうに声を掛けてくれました。それだけではなくなんと変顔をして見せたりべろべろばぁ~と笑っておどけて見せたりしてお世話をしてくれたのです。男の子が濡れた服をお母さんに着替えさせてもらっている間もずっと傍で話しかけてくれていました。年長組のお兄さんお姉さんの神対応のおかげで、男の子はその時に泣いただけですぐに笑顔になり、それから、気分を取り戻して最後までたっぷり幼稚園で遊んで帰ってくれました。

翌週、その親子が私の所まで来て「先週、小川に落ちた時にはお世話になりました。幼稚園のお兄ちゃんお姉ちゃんがいっぱい笑わせてくれて嬉しかったみたいです。今日も幼稚園に行く事を楽しみにしていたんですよ。」と言ってくださいました。子供達だからこそ心得てできる“ご機嫌回復術”だったようです。

毎朝、小さな身体に大きな荷物を持って登園してくる一番小さな学年の子供達を早くから着替えて遊んでいる年長組の女の子達が、時々手伝って保育室にまで送ってくれたり、荷物を持ってくれたりして助けてくれます。「はい、消毒してごらん」と中門での手指消毒の声掛けもしてくれます。そんな時は、お兄さんお姉さんの優しい指導を素直に受けて、小さな学年の子達はちゃんと消毒器に手をかざします。それから一緒に保育室に向かっていくのです。
また、登園しても、寄り道をしてなかなか保育室に行かない子を「こら~ぁ!おいで~!」と言いながら追いかけっこをするように、笑いながら保育室まで誘導してくれます。上手くいく時とそうでない時はありますが、同じ事を大人の私達がするより、ずっと上手にしかも追いかける子も追いかけられる子も楽しそうにしながらなのです。

『子供には子供にしか通じない心の言葉』があるのかもしれません。家族の中でも、お父さんやお母さんではなくてお兄ちゃんやお姉ちゃんが言ってくれる方が、素直にわかってくれたり行動してくれたりするといった事を感じられる時があると思います。それは、子供は子供同士──分かり合える、共感し合える事をお互いに実感しているからだ思います。近い立場で自分に関わろうとしてくれているのが分かるからだと思うのです。ちょとぶっきらぼうだったり、荒々しかったり、大人目線から言えば無神経にも思えるような対応でも、意外と受け入れ合えている事が面白いです。

集団の中では、子供同士のちょっとしたトラブルはつきものです。たくさんの友達で仲良く遊んでいるかと思っていたら急にいざこざが始まったり、物の取り合いになったりします。それなのに、気がつけばいつも一緒に遊んでいるのです。大人だったら、一度ゴタゴタした事が発生すると二度と関わりたくなかったり避けて過ごしたりするところでしょうが、子供達は、いったいどうやってできた傷を修復しているのか?……いつの間にか、仲良く楽しく遊ぶ事ができるのです。でも、子供達だって、気が合う合わないはあります。「誰とでもみんな仲良くしましょう」と言っても、そこは、子供達もよく心得ています。子供なりに押したり引いたり……また足したり引いたり、掛けたり割ったりしながら折り合いをつけて関係づくりをして行きます。私達大人もそうしながら生きて来たのではないでしょうか? 勿論、子供達のトラブルの内容やいきさつによっては大人が介入する必要がありますが、人に対する“優しさ”や“慈しみ”や“共感”または“受け入れる”気持ちを育てていれば、いろいろな場面において、子供同士で何となくでも解決に繋げて行けるような気がします。

入園・進級してこれまで過ごして来た1学期2学期の間に、性格や環境や経験の違ういろいろな友達にたくさん関わりあう事で、その友達の事を知って上手に付き合おうとする気持ちが育ちその方法も学び、人と上手く関わって行く引き出しをたくさん作っていくのだと思います。時には、お兄さんお姉さんとして、時には、ずっと一緒に毎日を過ごすクラスの仲間として……。どの方法で対処しようかと考える事ができる子になるのです。こうした経験とその時々の学びを繰り返しながら、社会の一員として上手く生きて行く事ができる大人になって行くのでしょう。

子供は子供同士、『子供にしか通じない心の言葉』に任せても良いのかもしれません。私も昔よく言われました「自分達で解決しなさい!」それはきっと「あなた達ならきっと解決できるでしょ!」という意味合いだったのです。子供同士のチカラを信じてもらえていたのかもしれません。

田房葉子



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