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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす りす



『ダンゴムシと子供達』 2023年6月30日

プールや園庭や砂場で砂や水と戯れる子供達の歓声が響き渡っています。キャーキャーと賑やかなその様子は見ているだけでも楽しくなります。水びたし、砂だらけになって汚れた着替えを持って帰り驚かれているかもしれませんが、どうか「楽しかったんだね~」と笑って洗濯をしてあげてください。よろしくお願いします。

この時季になると、子供達にとっての人気者がたくさん現れます。小川にはアメンボ、カエル、エビ?ザリガニ?、園庭ではアリ等、子供達はそれをゲットするために必死になります。中でも、満3歳児クラスや年少組の小さな子供達でも捕まえる事のできるダンゴムシの人気は不滅です。きっと、ダンゴムシを知らない子はいないでしょう。子供だけではなく、お父さんお母さん達も、かつて幼少期に捕まえたり触れたりした事があり、よく知っておられる事と思います。

ある日、園庭の隅っこで、年少組の先生と子供達が、数人で頭を付き合せる様にして座り込んでいました。何をしているのだろうと見てみると、私が草取りをして集めたまま捨てるのを忘れていた草をかき分けて何かを集めていたのです。私は「ごめんごめん!そのまま捨てるのを忘れていたわぁ」と、やりっぱなしにしていた事を謝りました。すると、その先生が「違うんです、この草の下にダンゴムシがたくさんいるんですよ~。むしろ嬉しくて……子供達が喜んで集めています。」と言いました。こんな隅っこの場所をよく見つけたもんだと子供達の臭覚(? 笑)に驚きました。

ダンゴムシは、湿った土や枯れ葉の下によく隠れています。大きな石をひっくり返すと現れたりします。その事を知っている子供達は、園庭の隅々にまで目を光らせ、牛乳パックや虫かごに驚くほどたくさん集めています。ダンゴムシは、子供達みんなの人気者です。動きがゆっくりなので捕まえるのが簡単である事や、手のひらにのせても噛みついたりしない事や、何より、触ったらクルッと丸くなる可愛さと動きの愛くるしさが人気の理由ではないかと思います。幼稚園でもたくさん集められますが、家で捕まえて空き箱や虫かごや空容器に入れ得意そうに持って来る子もいます。でも、それを大切にずっと飼い続けたり観察したりしているかと言えば、わりとそうでもなく、結構、持ち遊んでいて逃げたり手放したりして、大事そうに持って来た割には執着していない……いなくなった事は残念だけど、それでも、簡単に見つける事ができるので、また空容器を手に幼稚園でダンゴムシさがしを楽しんでいる。(またさがせばいっか)と思わせてくれるほど身近にいて簡単に見つける事のできる子供達にとってありがたい生き物でもあるのです。

小さな子供達にとって虫との出会いは、驚きや不思議等、興味の始まりで、それを飼育したいとか観察したいとかまでまだ考えが及ばない。捕まえたり集めたりする事そのものが楽しいのです。こんな言い方は少し乱暴かもしれませんが、それは、自分達の思い通りにはならない動きをする“おもちゃ感覚”で遊んでいるのです。地面を忙しそうに歩き回っているたくさんのアリを見つけて捕まえようとするけれど、結構動きが速いのでつまむしかなく、力加減によっては潰してしまう事もあります。捕まえられなくてつい踏んで捕まえようとする子もいます。残酷なようですが、殺そう潰そうと思ってそうしているのではなく、子供達は逃げようとするアリと追い掛けようとする自分とどっちが凄いかと競って遊んでいるのです。

子供達は、夜、外灯の下に集まって朝までたかっているカゲロウでも見つけたら捕まえようとします。強烈な臭いを発するカメムシでさえ牛乳パックに入れて見せてくれる事もあります。こうして、子供達は虫との出会いを楽しんでいくのです。「虫にも命がある」「死なせてはいけない」───。その通りです。しかし、その事ばかり思ってしまったら、虫やその他の生き物との出会いに慎重になり過ぎて「かわいそうだから、逃がしてあげなさい」とか「あまり触らないで見るだけよ」とか言ってしまいがちです。子供達が虫と出会い触れ合う事は、その後、子供達の成長と共に命を大切に思う事に繋がって行く大切な経験です。子供の関わりは、一見酷く薄情とも思えるような扱い方かもしれませんが、経験なくして感情は生まれませんし、心動かされません。たくさん触れて遊んでみる事から、生き物に対する愛情が生まれ命の事を考えられるようになるのではないかと思うのです。

もう少しすると、幼稚園はセミの鳴き声で賑やかになり、ダンゴムシ集めからちょっぴり卒業したお兄さんお姉さん達のセミ採りを楽しむ姿も見られるでしょう。子供達は何でも触って観て嗅いでその物の事や成り立ちを知って行きます。虫かごの昆虫でも何度も何度も出して触って遊びます。そうしているうちに時には足がとれてしまったり羽を痛めてしまったりする事もあります。そんな姿を見て、何となく可哀そうな気持ちや虚しい気持ちになる事も大切な経験なのではないかと思います。それから、命を意識する事が始まるのです。十分に触って遊んだ子供達は大きくなるにつれて、“なんとなく”だった“可哀そう”と思える感情が段々と理解できるようになります。そのタイミングで初めて「死んだらかわいそうだから、どうしてあげようかな」と大人が一緒に考えてあげたらいいのだと思います。幼少期は、身の回りにある(いる)物に、関心をもち十分に関わらせてあげる事が大切なのです。私達大人も、子供達と同じようにダンゴムシをおもちゃのように触って遊んでいました。そして、大きくなるにつれて虫以外に動物や人と関わる事で命の尊さを知ってきたのではないでしょうか?

三次中央幼稚園には、「なかよしどうぶつえん」があります。そこでは、エサをあげる子供達と先生達の微笑ましい姿が見られます。自分の手にかなうダンゴムシやアリ等との出会いをたくさんした子供達は、幼稚園にいる大きな動物ヒツジ・ヤギ・クジャク・ウサギの命を余計リアルに感じる事ができるのではないかと思っています。

今日も、あちらこちらでダンゴムシさがしに精を出す子供達です。ダンゴムシくん、いつも子供達の遊び相手になってくれてどうもありがとうね。

田房葉子





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