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幼稚園からのおしらせ
幼稚園からのおしらせ

学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす りす




『時代を受けて立つ力を誇りに』 2022年2月28日

3学期になってから新型コロナウイルス感染拡大により、幼稚園休園と自由登園という対応に、子供達や保護者の皆様には大変なご心配とご苦労をおかけした事と思います。保護者の皆様のご理解とご協力、また幼稚園や職員の事を気遣うたくさんの励ましのお言葉をいただきました事に心よりお礼申し上げます。

新型コロナウイルス感染症により、幼稚園はこれまでにない経験をしています。この度の経験でふと思い出す事があります。三次中央幼稚園が開園してからこれまで、様々な出来事や苦難があったと聞いています。50年前、開園間もないこれからという時に「昭和47年7月豪雨」で三次市は大変な災害を受けました。幼稚園の園舎内も、勿論園庭も、水害により大変な被害状況でした。しかし、当時の園長 伊達正浩は即座に職員に動員をかけ、ホールを片付け市民の避難所として場所を提供したそうです。当時の事を写真を見せながら私達職員に語ってくれた事があります。その時の園長の真剣な顔から、市民や保護者の方々そして職員皆で協力して支え合って乗り越えて来た事への誇らしい思いが伝わって来ました。

新型コロナウイルス感染症により、今、世界中が災害級の非常事態とも言われています。世の中の在り様がすっかり変わってしまいました。幼稚園もコロナ禍における子供達の学びの場としての在り方をここ数年間ずっと考えさせられています。いろいろと制限された中であっても、これまで通り子供達に豊かな経験を与えるためには、今までの形や方法にこだわらない新しい発想の転換が必要となりました。それは、一つひとつがお手本も実例もない事へのチャレンジです。

次から次へと変わるコロナ情勢と向き合いながらの生活は、この一年間ずっと続きました。今年度の幼稚園の「入園式」「参観日」「運動会」「年長組のスペシャルデー」等々……全てが新しい事にチャレンジしながらの行事でした。世の中では、三密を避ける・大きな声で話さない・マスク着用等を求められますが、子供達の世界でそれはとても難しい事です。むしろ避けなければならないとされている事は、逆に子供達には必要な事だと思うのです。人と人との関わりや直接肌に感じる温もり、会話を交わす、相手の表情を見て気持ちを読み取る等、これらに触れながら子供達の心は育っていきます。でも感染防止には必要な事──。このジレンマを抱えながら対策を考える事も日常生活におけるチャレンジでした。
自由登園の間の事です。感染防止のために登園を控える子供達もいて、なかなかクラス全員が揃わない事を寂しく思っている子供達がたくさんいました。「今日は○○君来るかな?」「今日は○○ちゃんと一緒に縄跳びしよう」と思っても、来ない…。遊んでもお弁当を食べてもなんだか寂しくて調子が出ない…。そんな子供達の気持ちが手に取るようにわかりました。

ある朝、久しぶりに登園して来てやっと会えた年中組の女の子ふたりが「○○ちゃ~ん、久しぶりだね。一緒にお部屋に行こう!」と肩寄せあって幼稚園に向かって行きました。ふたりは足取りも軽くとても楽しそうに中門を入って行きました。それは、どの学年、どのクラスでも見られた光景でした。

また、約一カ月休んでいた年長組の男の子が久しぶりに登園して来た時の事、中門で私は「○○君、おはよう!元気に来てくれたね。」と声をかけましたが、どことなく元気がありません。「どうしたの?」と聞くとうつむいて小さな声で「どうせ僕の事、みんな覚えてないと思う。忘れてるよ。」と言うのです。私は、その男の子が休んでいる間ずっと幼稚園や友達を恋しく思っていた気持ちと、久しぶりの幼稚園でドキドキしている気持ちで小さな胸を痛めていた事を思い、その子を思わず抱きしめてしまいました。「そんな事ないよ。お部屋に行ってごらん。みんなが○○君を待ってくれてるから。先生も喜んでくれるよ。」と言いました。すると、その横から同じクラスの友達が「○○君来たんだね。僕もいっぱい休んだよ。まだ○○君も来てないし、○○君も……。」と普通に声をかけてくれました。それから二人は、何やら笑って話をしながらお部屋に向かって行きました。きっと、子供達はみんな日常とは違う生活の中で戸惑っていたはずです。そんな時に「僕だってそうだよ。」「私だって同じ気持ちだよ。」と思いあえる友達の存在が、安心させてくれたり元気にさせてくれたりしたのでしょう。

できなくて残念だと思える事も、物足りないと思える事もあったかもしれませんが、コロナ禍での経験は決して嘆かわしい事ばかりではないと思います。思うように友達に会えない寂しさと同時に「友達」と「クラスの仲間」の存在の大切さに子供達はあらためて気付き、“友達っていいな”“たくさんの仲間がいるって楽しいな”と思えたのです。楽しい時はそれが当たり前過ぎて気付かなかった事が、寂しさを味わう中で学べたかもしれません。また、したくても出来ないならば、それに代わる事や方法をみんなで考えていろいろな行事を楽しんだ時の達成感──それは自分達の自信になり、生活を豊かにする力になるでしょう。この時代を過ごしている子供達を「かわいそうな子供達」にしないためには、私達大人が今の状況を前向きに捉えコロナ禍だからこそ子供達の中に育っている特別な力を見つけ、さらに導いていく事が大切なのではないかと思います。まだしばらく続くと思われるコロナ禍で経験する一つひとつが、私達大人にとっても子供達にとっても成長の原動力になっていく事を信じたいと思います。

年長組の子供達は、そんな時代の中でもうすぐ幼稚園を巣立って行きます。夢いっぱい抱いて一年生になります。欲求が満たされにくい、思った事が叶いにくい時代かもしれない。でも、それだからこそ、同じ時を過ごして来た特別な友達と一緒にベストを尽くす力を発揮して欲しいのです。友達の大切さを一番分かっている子供達だからこそ、困難な事もきっと分かり合える仲間を探し、一つひとつを丁寧にクリアしていくその醍醐味を味わいながら、日々過ごせる事を願っています。コロナ禍で得た力に誇りをもって成長して欲しいと心からエールを送ります。

50年前の災害を幼稚園と子供達のためにと前向きに乗り越えた時の当時の園長が抱いた誇りが、今また深くわかるような気がしています。

田房葉子



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