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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす りす




『“付かず離れず”“見てみぬふり”の愛情』
               2021年6月30日

子供達が幼稚園に植えて育てている稲や野菜や花が、順調に生長しています。毎日元気に過ごしている子供達の姿と重なり、幼稚園全体が生き生きとして見えます。先週から、昨年度はできなかったプールあそびも始まり、こうしてゆっくりでも良いからこれまでの日常が取り戻せますように……と願いながら子供達の笑顔を守りたいと思っています。

さて、先月は“母の日”今月は“父の日”と、お母さんやお父さんの事を想う日が続きました。私事ではありますが、この6月は13年前に母が、昨年は父が他界した悲しい出来事があった月です。先日は父の一周忌と母の十三回忌の法要を行い、身内で父と母の思い出話に花が咲きました。私の両親は62年前にふたりで小さな時計店を始め、軌道に乗るまでの数年間は、地元の高校に通う生徒を下宿させたり、母は和裁をしたりして生計を立てていました。私が小学生になって時計店一本になっても両親は、毎日接客や時計の修理等で忙しく働いていました。そんな日々でしたから、全てを親に頼る事も出来ず、色々な事を自分でせざるを得なかったように記憶しています。夕飯時なのに、食卓にはまだ準備ができていなくて仕方なく買い物に行き、できる料理をして妹と弟とで食べる事もよくありました。制服のブラウスのアイロンがけや持って帰るお弁当箱を洗うのは当然自分達の仕事でした。

私が小学校6年生だった夏、市内の小学生の水泳大会に出場する事になりました。(やる気だけで選ばれました。笑)夏休み中、学校へ毎日練習に行きました。その練習を友達のお母さんやお父さんは時々応援に来られていましたが、私の両親は一日も見に来てくれませんでした。忙しい事はわかっていたので仕方がないと諦めていました。そんな中迎えた大会当日、プールの周りにはたくさんのお父さんお母さん達が応援に来ておられました。その中に、なんと、来てくれると思っていなかった母の姿があったのです。ビックリして、母の所に行くと「これ、おやつに食べなさい。頑張りなさいよ。」と言って、小さな紙袋を渡してくれました。中には、プリッツ1箱とチーズが……。大会の事より母に来てもらえた事の方が嬉しくて一日気分が良かったのを覚えています。母は最後まではいませんでしたが、私が大会から帰ると、「50メーターの真ん中あたりで、追い越されたね~。でもよく泳いだね。毎日練習をよく頑張ったよ。それでいいよ。」と凄く凄くほめてくれました。後で聞くと、大会を気にする母に父が「今日はお店はいいから、観に行ってやれ」と言ってくれたらしいのです。

何でもない事のようですが当時の私にとっては、大会の練習の様子を毎日見に来たり聞いてくれたりしていたわけではなくても、私の頑張りの全てを両親はちゃんと分かってくれていた事と、忙しい中、毎日の練習に持たせてくれるお弁当も当日のおやつも最

大の応援の形だった事を感じ、今でも忘れられない思い出となっています。側にずっと居て私の事をしてくれたり気にかけてくれたりする愛情より、はるかに大きな愛情を感じた出来事のひとつになっています。

先日、年中組のある女の子が、登園してすぐに「お腹が痛い」と不調を訴え、職員室で休んでいました。心細くなったのか涙が出て止まらなかったのでお家での様子を聞くためにお母さんに連絡をしました。すると、「確かに、少しお腹が痛いとは言ったのですが、少しすると普段通りに支度を始めたので、体調より気持ちの問題かもしれない。先生、私はいつでも迎えに行きたいんだけれど、今、行ったら気持ちを持ち直せなくならないかな?どうですかね?」と、我が子が弱くなっている気持ちを自ら打破して欲しいという願いと泣いてるのならすぐにでも迎えに行ってやりたいという思いとで迷われていました。結局は女の子の涙は止まらなかったので本調子ではないのだろうという事で迎えに来ていただきました。そのお母さんは、すぐに笑顔で抱きしめ「じゃあ、今日はママと一緒にゆっくりしようか。」と連れて帰られました。甘えから来ているかもしれない弱さを簡単に抱きしめるのではなく「ここを踏ん張ったら…踏ん張らせないと…」と、子供を信じて心を鬼にして支える事も我が子の先を見据えた愛情だと思いました。その女の子は次の日元気にやって来ました。その時お母さんが「先生、昨日は迎えに来させてくださってありがとうございました。」とお礼を言われました。本当は、一刻も早く迎えて抱きしめたかったんだろうと、ここでも見え隠れする親の愛情を感じたのです。

また、少し前に私は、全園児に向けて「4月から少しずつ大きくなっているみんなに頑張って欲しい事があります。自分の荷物(かばんや体操服袋)は自分で持ちましょう。」という話をしました。自分の事は自分で頑張るという生活を小さな事から始め、将来に繋がる責任と自立の気持ちを育てたいと思っているからです。それから子供の中には、「自分で持つ!もうここで大丈夫!」と車から降りて、得意顔で幼稚園の中に入って行く姿を多く見るようになりました。小さな身体には荷物が重そうにも見え、お母さんは子供の背中を心配そうに…でも、笑って見送っておられます。年長組のある女の子がカラー帽子を被らず遊んでいるのを見て、「カラー帽子は?」と声をかけると、「今日忘れたの。私、いつも自分で準備するから、私の失敗!明日は忘れない!」と恥ずかしそうに…でも元気よく笑って答えてくれました。何もかもをお家の人に準備してもらう毎日では、子供は“忘れ物はないかな?全部あるかな?”と自分で気にする事もありません。意識する事が自立に繋がるのだと思います。“自分の事は自分で”──これは、親と子供の間につくる“ほど良い距離”です。付かず離れずの……でも深い愛情のような気がします。

子供達には、お父さんお母さんがこれまで片時も離れず、寄り添い注いでこられた愛情が根っこにあるのですから、どうか、自信をもって、「付かず離れず、見て見ぬふり」をしてみてください。きっとお父さんやお母さんの愛情は伝わります。そして、それを感じながら大きくなろうと力を発揮し始めるのです。実に頼もしいじゃあないですか!子供達が大人になって、その深い愛情にあらためて感謝する時がいつか来るはずです。

田房葉子



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