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幼稚園からのおしらせ
幼稚園からのおしらせ

学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 葉子せんせいの部屋 りす





『引き出しの思い出』   平成24年9月27日

ある日の某新聞“くらし”のページに『幼稚園「同窓会」』という題でコラムが掲載されていました。家族で出かけた帰り道、大学を卒業するようになった年齢の息子とその兄弟が通った幼稚園に急に立ち寄ることになり、懐かしい先生やその先生が弾いて聴かせてくれる歌に久しぶりに触れ、大きな園児達の小さな同窓会を楽しんだ。…という内容のものでした。

私はこのコラムを見て、迎えた幼稚園の先生の立場に自分を置き換えて読み、胸が熱くなりました。私達の幼稚園にも、よく卒園児達が人生の節目節目に幼稚園を懐かしんで、訪ねて来てくれます。色々なきっかけで来てくれるので、その子達の年齢も置かれている状況も様々です。進学が決まった事…、就職や結婚を機に日本を離れるようになった事…、結婚をして赤ちゃんが生まれた事…、大学生活を終えてまた三次に帰って来た事…、それらの報告をしに来てくれる子もいれば、丁度幼稚園の前を通りがかって、寄ってみたくなったからと来てくれる子もいます。幸い(?)三次中央幼稚園の先生達は、長年勤めている先生が多く、その子達の事を知っていたり担任していた先生がいたりして、その歓迎ぶりは凄いのです。自分が通っていた頃の先生がまだ居てくれたという子供達の感動や、年月を経ても懐かしんで足を運んでくれたという先生達の感動とが一緒になり、それはそれは思い出話は尽きません。

色々な懐かしい子供達が訪ねて来てくれますが、ある事がきっかけとなり、今なお、頻繁に幼稚園に来る男の子がいます。男の子と言っても、もうあの頃の面影も無いほどの22歳の身体の大きな子です。彼が年中組の時に担任しました。その子が幼稚園に足を運んでくれた始まりは、高校受験に悩み、人生が面白くなくなっていた頃の事です。お母さんと一緒にいた彼にばったり会い、「幼稚園に遊びにおいで」と声をかけた時からでした。照れくささからか、「来たよ」と一言言ってふてくされたような風貌で職員室に来ました。それでも、彼を知る先生達は大歓迎でした。理事長も園長も皆大切な可愛い卒園児として迎え入れてくれました。今の彼がどんな境遇にありどんな様子であっても、彼自身の中に宿り育った物はあの頃のまま彼の中にあるという事を認めてくれる先生達ばかりだからです。彼は今、自分に合う仕事を見つけ一生懸命働いていて、仕事が休みの日に時々顔を見せに来ます。2学期が始まったばかりのある日、突然「今から行く」とメールが届きました。同じ卒園児の友達を連れて来てくれたのです。その子も年中組の時私が担任した男の子で、東京の大学に行っています。2人は、幼稚園の子供達とも遊んでくれたり、降園前に満3歳児クラスで子供達に絵本を読んでくれたりして人気者になっていました。「遊んでばかりいないで、園庭にホースで水まきしてよ。」と頼むと、2人してブツブツ言いながらも2本のホースで園庭を湿らせてくれました。しばらく様子を見ていると段々と幼いあの頃に戻ったように、水の掛け合いを始めていました。「やめろや!!」「お前が先にかけたんだろう!!」と大きな身体の2人が無邪気に言い合ったり大声で笑い合ったりしているのです。大人になって、遠い土地で、私達の知らない悲しみや喜びを経験していたり、社会の厳しさに一喜一憂しながら頑張っているこの子達が、あの頃のように無邪気な笑顔でこの幼稚園の庭で遊んでいる姿に感慨深いものがありました。

その後、「園長先生から花壇に植えてって頼まれた。」と言って2つの花を持って来ました。鳥谷芽似先生も2人に加わっていました。実を言うと、芽似先生も年中の時彼らと同じクラスで私の可愛い教え子です。彼らは、芽似先生に会える事も楽しみにしているのです。

3人が花壇に肩寄せ合って植えかえているその様子を見て、時が逆戻りしたような気持ちになり、何やらこみ上げてくるものがありました。

以前「これ見て。」と何冊かまとめられたあの頃の“れんらく帳”を持って来ました。お家の方と私との一年間の連絡の記録です。良い事も悪い事も連絡し合い、ひたすら彼の成長を願う気持ちがたくさん綴られていました。彼はこのノートを大切にしまっていると言いました。幼稚園での色々な思い出や経験、友達や先生との他愛もない小さなやりとりが、彼らの心の隅っこの引き出しにしまわれていて、時々引っ張り出して自分をその頃に置いてみたくなるのでしょう。新聞のコラムに書かれていたのと同じように、彼も殆んどの友達の個人マークやその頃歌った歌や演奏した曲、遊んだ事、手遊びや参観日によく見せてやっていた手品等など…そんな事?と思うような事まで覚えているのです。

しばし幼稚園で時間を過ごした後は、いつもぶっきらぼうに「じゃあね」と言って帰って行きます。その大きな背中は、来た時と何か違って見えるのです。子供達にとって、幼稚園での可愛い思い出は自分が守られていた時の温もりを思い出させるものなのでしょう。そして、その温もりに触れる事で、また頑張ろう!と背筋を伸ばして自分の今の世界に戻って行けるのだろうと思います。

今の園児達にも一つでも多く、大きくなっても浸りたくなる思い出をつくってやりたいと思います。さあ!2学期は、子供達の心に残る経験をたくさんします。ずっと、覚えていてくれるかな?そして何年後かに、嬉しい事があっても悲しい事があっても「先生!来たよ!」と訪ねて来てくれる…、そんな幼稚園でありたいと思うのです。その頃は、すっかりおばあちゃんだな。

田房葉子





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