余白
総合保育施設子供の園ちゅうおう
ホームへもどる
お知らせはこの下

三次中央幼稚園
教育方針
園の特色
子供たちの広場
年間行事
入園案内
プレイルーム
(預かり保育施設)
三次中央幼稚園のブログ
白髪せんせいのつぶやき
葉子せんせいの部屋
えんちょうのえほんこうざ
 
子供の館保育園
子供の城保育園
 
ちゅうおう憩いの森
ちゅうおう児童クラブ
 
メールはこちらへ
プライバシーポリシー

幼稚園からのおしらせ
幼稚園からのおしらせ

学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 葉子せんせいの部屋 りす





『お父さん!お母さん!ありがとう』
             平成24年5月31日

年長組が田んぼに植えた苗が、水の中で元気に風に揺れています。

田植えを済ませた子供達が苗にかけた「おいしいお米になりますように!」というおまじないの言葉に応えようと、苗も一生懸命なのかもしれません。きっと、秋には格別美味しいお米が実ることでしょう。

我が家の田植えも、年長組の子供達が手伝って植えてくれたおかげで、今年も早々に全ての田んぼを植え終えました。毎年、田植えが終わると、私は、「農業を見た事もした事もないあなたが、ちゃんと家の役にたつのか」とお嫁に行く私を心配していた今は亡き実家の母の仏壇にその報告をしています。その時の事です。

仏壇に手を合わせ母の遺影に眼を向けると、一枚の封筒と手紙がその前に置いてある事に気がつきました。それは、甥っ子…つまり私の弟の長男が、家族に宛てて書いたものでした。甥っ子は、大阪の学校を卒業後今年の春、大阪のホテルに就職が決まり働き始めたばかりです。家業である商売の道に進むかどうか悩んでいましたが、結局、親とは違う世界で自分を試したいという気持ちもあり、その道に進んだようです。彼の両親は息子の意志を尊重し、自分の選ぶ道を頑張って欲しいと祈るような気持ちで送り出したのです。その旅立ちを喜びながらも寂しがっているのは実は私の父…つまり彼のおじいちゃんです。4年前に母が他界して、父は随分力を落としました。4年経った今でも、母の思い出話をするたびに目頭を熱くします。そんな中、孫達の存在は、父にとって寂しさを忘れさせてくれるかけがえのないものでした。そんな孫達も長男が就職、今年の春には、二男までが進学で二人とも家からいなくなって、少し寂しくなっていたのです。そんな日々を送っていた時のこの手紙でした。そこには、このように書いてありました。

『社会人初のお給料をいただきました!父さん、母さん、じいちゃん、ばあちゃんにほんの少しだけど、今までの感謝の気持ちを込めて初めての家族孝行をします。もっともっと頑張って、みんなにフレンチのフルコースをご馳走できるようになりたいです。20年間見守ってくれてありがとう!父さん、仕事も大切ですが健康第一だよ。母さん、無理せず笑顔で…。じいちゃん、寂しい想いをさせてごめんね。また帰るよ。じいじは長生きするよ。そして最後に…ばあちゃん、(天国から)みんなをよろしく!』そして、一万円札が一枚…母の遺影に見えるように封筒から覗かせてありました。

私は、一人でそれを読んで涙が流れました。男の子だからか、何をどう考えているのかをあまり態度に表わしてくれなかったのですが、こんな事を考えていたのか、こんな想いを抱いていたのか…子供ってちゃんと愛情を感じながら育っていくものなんだなと思ったのです。一緒に居ると気がつかなかったり気づく間がなかったりで、離れたり失ってみたりして初めて気がつくのです。それまでの長年の家族の在り方が微笑ましく映し出された手紙に思えました。

私達大人も、子供を育てる親になって初めて自分を育ててくれた親の偉大さや親への感謝の気持ちが溢れます。幼稚園でも、毎年、新任の先生には園長先生が、「この初めてのお給料日…、お父さんやお母さんに何かをしてあげてね。」と言われます。何かを買ってあげて!という意味ではなく、ここまでにしてくださった事への感謝の気持ちを何かの形で伝えてね、という意味だと思って聞いています。親が子供を一人前に育てるのは、本当に大変な事だと思うのです。それでも、その長い年月があっという間に経つように感じるほど、必死で我が子を育てます。愛するが故です。

3〜5歳の子供達は、嬉しい時も悲しい時もいつもお父さんやお母さんがそばにいてくれて、ご飯を作ってくれたり、一緒に遊んでくれたり、時には叱ってくれたりする事が、今は、当たり前の事のように思っているかもしれません。でも、そのありがたさを感じていないわけではなく、ただ実感していないだけなのです。母の日、父の日、敬老の日、お誕生日……こんな特別な日にはどうか、「あなたは、幸せなんだよ。あなたの周りのたくさんの深い愛に包まれて、大きくしてもらっているんだよ。」と、“幸せ”を確認させてやってください。そうしながら大きくしてもらった事や自分に関わってくれたたくさんの人達に感謝できる子になってくれると思うのです。

それが、今は、たとえ“ありがとう!”という言葉にならなくても、「お母さんだいすき!」「お父さん!あそぼうよ!」「お父さん、お母さん、ごめんなさい」──子供達がお父さんやお母さんに言ってくれる言葉全てが、感謝の気持ちの現れです。だって、子供達にとっては、自分のそばにいてくれて、わがままが言えたり、思っている事がそのまま言えたりする事そのものがありがたい事なのですから……。何十年か先には、それはとてもありがたかった事で、この上ない愛情に包まれて育ててもらえていたのだという事を実感するでしょう。そういう時が必ず来るのです。その時に言ってくれる「ありがとう!お母さん」「ありがとう!お父さん!」──それは、子供達がいっぱいの感謝の気持ちを温めて温めてやっと伝えてくれる素晴らしいプレゼントになるのです。そう思ってどうか今は、子供達との一分一秒の時間や何気ない言葉や気持ちのやり取りに幸せをかみしめながら、悪戦苦闘してください。それが子育ての醍醐味ですから。

田房葉子





BACK



(C) Miyoshi-date Gakuen Educational Foundation Miyoshi, Japan 2001-2008 (C) ASTOK JAPAN,INC. Osaka, Japan 2001-2008
(C) Chuo Fukushi-kai Welfare Miyoshi, Japan 2001-2008