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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 葉子せんせいの部屋 りす





『“ごめんなさい”が言いたくて』
         平成27年9月30日

それは、夏休み…。幼稚園は休園ですが、預かり保育(プレイルーム)では、毎日子供達がやって来て一日中元気に過ごしていました。そんなある日の事です。プールあそびを終えて着替えた子供達が順番にプレイルームの部屋に戻って行きました。プールの片付けを終えて、私もプレイルームに戻ると、数人の男の子が何かを取り囲んでざわついていました。「どうしたの?」と覗き込むと、そこには、淵が壊れた掛け時計が床に落ちていたのです。少し壊れただけだったのですが、きっと、その場に居合わせた男の子達は、かなり“どうしよう……”と焦った事でしょう。覗き込んだ私に数人の子が原因と思われる事を口々に話してくれました。泣きそうな顔をした子もいました。私は、その子達の話をよく聞き、状況やその時計を見て、誰か一人の責任…という事ではなく、みんなでプールのバッグを振り回したり飛び跳ねたりして騒いだ結果そうなってしまったという事だと判断したので、子供達が全員入室して落ち着いたところで、全体に向けて子供達に室内にいるときの注意や入室したらどうしないといけなかったのかという話をして、時計が壊れただけでなく、他の危険もあるという事をみんなで話し合いました。子供達は、静かに私の話を聞いてくれました。「じゃあ、葉子先生が、後でこの時計を修理しておくね。」と言って、そのちょっとした事件をおさめました。

そして、次の日、プレイルームにお迎えに来られたある年中組の男の子のお母さんがプレイルームに向かう前に、たまたま出会った私を、「葉子先生、すみません。少しお話があるんですが……」と呼び止めてくださいました。「何でしょう」と話を聞くと「昨日、プレイルームの時計が壊れたんですか?」と聞かれたのです。「はい。そうなんです。」と答えたところで、「実は、どうやらうちのK君が当たって落としてしまったみたいなんです。○○くんと一緒に当たったんだとか……。葉子先生が直してくださったんだ…って言っていました。夜、寝つかせている時に、おかあちゃん、今日ね…ボソボソと話してくれたんです。明日“ごめんなさい”って言おうか。おかあちゃんも一緒に言ってあげるから……って話したんです。本当にごめんなさい。“ごめんなさい”って言うって言っていたので…。先生、私もこれからプレイルームに迎えに行くので、一緒に聞いてやってくださいませんか?」と言われたのです。それは、昨日の騒ぎの中にいた男の子の事でした。私は、お母さんの話から、昨夜どんな気持ちでK君がお母さんに打ち明けたのかを想像すると愛おしく思えました。私は、お母さんと一緒ではなくても自分から自分の言葉で「ごめんなさい」が言えたら、その子はもっと気持ちよくこの事件を自分の中で解決する事ができるような気がしたので、「お母さん、これから私が先にプレイルームに行って、K君にお話し聞いてみますから、お迎えに行くのを少し遅らせて来てあげてください。」とお願いして、K君の所へ行きました。プレイルームにはたくさんの子供達がいて、集まって来てしまうので、K君と二人だけになれる場所に行き、二人で座り込んで話を切り出しました。「K君、昨日、プレイルームの時計が落ちて壊れたでしょう。どうしてそうなったのか何か知ってる?」と聞き出してあげようとすると、しばらくは、「ん?」「ん?」と言いにくそうにしていましたが、「ぼくと○○君が当たったんだ」と言ってくれました。まだ幼いので、細かくその時の状況を説明するのは難しそうでしたが、よく分かってくれたようで「騒いでたから…」と、小さな声で言ってくれました。もうそれだけで十分でした。「よく話してくれたね。どうして壊れたのかなぁって不思議だったの。これでよくわかったよ。悪かったなぁって思ったら、今度はその時に話してね。」と言うと顔を上げて、「うん。……ごめんなさい」と小さな声で言ってくれました。小さな声でしたが、私には心に響く大きな大きな声に思えました。

夜、寝る前にもきっと、「今日は楽しかったぁ〜」と心から思えない何か引っかかるものがK君の中にあったのでしょう。それを思い出してお母さんに打ち明ける時にどんな勇気がいったでしょうか?私が、ガムテープを使ってなんとか直した時計をその日一日見ながらどんな気持ちがしていたのでしょうか?きっと、いい気分で過ごしていたわけではなかったと思います。その時にそのままではいけないような……だけどどうしたらいいのか……。自分で解決策を探せないままどこかスッキリしないまま過ごしていたのだと…。また、お母さんもとても上手にK君の気持ちを聞いてあげられたのでしょう。「あのね…」と話した時、「一緒にごめんねって言おうか。」と一緒になってK君のしんどい気持ちを背負ってもらえて、K君は少し楽な気持ちになって眠れたでしょう。自分からお母さんに話せた…それだけで、十分反省の気持ちを持っている事や、黙っていられなかった気持ちを上手に汲み取ってあげられたのでしょう。

“ごめんなさい”っていう言葉は、なかなか自分からは言いにくいものです。大人だってそうです。でも、世の中の人間関係や社会を平和に円滑に、そして何より、自分がその後も胸を張って生きて行くためにも大切な言葉です。みんな、本当は“ごめんなさい”と言いたいのです。そのままじゃあいけないという事はわかっているのです。こういう事、よくありませんか?

自分から言えた“ごめんなさい”だからこそ、本当の“ごめんなさい”の意味をもち、自尊心を失わず生きて行く事ができるのではないかと思うのです。

田房 葉子





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