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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



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『心の断捨離』        平成30年4月27日

桜、桜と喜んだのも束の間、待ちわびてやっと満開を迎えたかと思えば、春の雨風に花吹雪となり綺麗に散って行きました。満開の桜が見られるのはほんの数日、この儚さに他の花にはない美しさと魅力を感じます。

さて、新年度を迎えました。まだまだ幼稚園に慣れない新入園児達が、いろいろな様子を見せてくれています。幼稚園の中門では、お家の人と離れられなくて、先生に抱かれたまま手足をバタバタさせて必死に泣く姿や、「幼稚園なんか行かない!遊ばない!もう帰る!」と何でもイヤイヤと抵抗する姿、保育室に入らず鞄を背負ったままあちらこちらで遊ぶ姿……、大変ですが可愛くて新鮮に感じます。こんなふうに言うと心配されている保護者の方からお叱りをうけるかもしれませんが、それらはみんな毎年見られる光景です。見る物聞く物する事出会う人全てが、新入園児にとっては初めての事で、その状況を受け入れる心の準備ができていないのですから、至極当り前の事なのです。徐々に慣れ、幼稚園の楽しさに目を向ける余裕が出てきたら、この光景もいつの間にか見られなくなります。慣れるペースは、皆それぞれに違いますが、ゆっくりと見守っていきましょう。

そんな中、進級児達は初日から、登園してすぐに友達を作り園庭狭しと走り回っています、さらに、年長組ともなれば友達と遊んでいる時でも、次々に登園してくる新入園児達を保育室まで連れて行ってくれます。皆が皆そうではありませんが、どことなく進級児達の顔には余裕が見受けられます。そんな進級児達も昨年一昨年前は、同じように、お母さんやお父さんを恋しがり泣いていました。一年をかけて信頼関係を築き、お家の人以外に、心許せる人が出来てきて今があります。新年度に先生達が「去年までは、私にべったりだったのに、進級して担任が変わったら、コロッと新しい担任に鞍替えをしてしまう……げんきんなものだわ。」と、笑って言います。制服を着るのも嫌だった子が、普通に着て登園して来ます。なかなか保育室に入らなかった子が、登園したらまっすぐに入って行きます。ついこの前までは、昨年度の先生でないと心を許せないでいた子が、新しい担任の先生の名前を大きな声で呼びながら遊ぶ姿…。いろいろな場面で、“あの時のあの子はどこへやら…”と、昨年度の担任はこれも“成長”と、目を細めて見ています。

この春には、たくさんの卒園児達が中学や高校入学の報告に来てくれました。その時に幼稚園の思い出話をしましたが、そんな事を?と思うような事を覚えていたり、保育室の中に入り「わぁ!幼稚園の懐かしい匂いがする!」と記憶を甦らせたりしていました。「思うようにならなかったら、いつも泣きながら地団太踏んで大騒ぎしていたの覚えてる?」と聞くと「エッ?そんなの覚えてないよ〜」と覚えている事や忘れている事等を笑い合いながら思い出話に花が咲きました。もう何年も経ったのに、あの頃いろいろな気持ちで過ごした幼稚園での思い出を心の奥底にちゃんとしまってくれている事に喜びを感じました。

園長先生が、もう長年この仕事をしているので、資料や自分の仕事で使っていた古い物を少し整理するために「断捨離をしないといけないわぁ〜」と言って片づけておられます。新しい情報や仕事を取り込みやすくするためです。私はそれを聞いて、卒園児達の事を重ね合わせていました。彼らはこれまでにたくさんの人と出会い、いろんな経験をして来たはずです。人は、次から次へと入って来る情報や経験を取り込みながら年月を重ね、知識や心を豊かにして行きます。しかし、取り込むばかりでは、いつかパンクしてしまいます。大きな箱の中に乱雑に入れていた無数の情報や記憶や経験…そこに込み上げる思いの一つひとつを時々取り出して余分な角を削ったり滑らかにしたり、特に大切な物とそうでもない物を小分けしたり、物によっては捨てたりして、無駄な隙間を作らないように入れ直したら、そこにいいスペースが空き、また心の中に新しい物を入れていく……この作業を無意識にしながら、大人になっていくのだと思ったのです。『心の断捨離』です。子供達は、一年一年の経験を養分にして成長していきます。養分となる物を箱の一番下に敷き詰めてその上に一つまた一つと大切な物を積んでいきます。進級児達の“新しい先生への鞍替え”は、ちょっとしたこの『心の断捨離』なのです。新しいクラスの友達と先生とのこの一年のために、去年一年分の養分を整理しながら心にスペースを空けて迎えているのだと思います。

年中組になったある男の子にお母さんが「うめ組の時の千晴先生と、今度の愛里先生とどっちが好き?」と聞くと、「愛里先生!」と新しい担任の名前を言ったそうです。ついこの前までは、「千晴先生が大好き!」と言っていたのでお母さんはそのげんきんさに笑うと、その男の子はすかさず「でもね、その事、千晴先生には、言ったらダメよ。千晴先生に悪いから…。」と言ったそうです。大好きな人、大切な事、素敵な思い出が多ければ多い程『心の断捨離』をして新しいスタートを迎えるのです。私達は、遠い先の子供達の記憶に、断捨離をしながらも幼稚園の事を残してくれていたら……生きるための養分として心の底に宿してくれたらどんなに嬉しいだろうかと思うのです。そうなるように、日々子供達との生活を大切にして行きたいと思っています。この一年もどうぞよろしくお願いします。


田房葉子





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