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幼稚園からのおしらせ
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学校法人 三次伊達学園 三次中央幼稚園



りす 白髪先生のつぶやき りす



平成17年度
  「お節料理」   平成18年1月10日

例年、年末の我が家では、お節料理の準備をします。大抵のご家庭がそうされているはずです。ところが、私自身は、昨年12月の半ば頃から、今年はどうしようかなと悩んでいました。なんだか気忙しくて余裕が無く、料理屋さんで作っているのを注文して、それで済ませようかとも考えていました。ちょうどその頃、東京で仕事をしている次女からメールが入ってきました。「お父さんは、お正月の2日目頃から、『お節』を食べても食べても、なかなか無くならないと言っているよね。だったら、皆が好きなものを少しずつ作ろうよ。今、流行(はやり)の豆乳鍋もお父さんと一緒に作ってみたいし、餃子の作り方も教えて欲しい。『お節』を作らなかったらお父さんも年末はゆっくりできるよ。」と、いった内容でした。
今までの我が家でのお節料理は、子供と一緒にいる頃は、その文化の伝承の意味も込めて、女房が必ず作っていました。もう、娘達も大きくなったし、今までに、伝えることは伝えているし、たまにはお節料理の無いお正月も良いかと思うことにしました。
だんだんと年末が近づいてきました。私は、娘が言っていた豆乳鍋を食べたことが無いので、やはり、一度は作ってみておかないと娘に料理を教えられないと思って、豆乳と野菜と魚のアンコウの切り身を買ってきて、試しに作ってみました。豆乳についてはどんな味に仕上げて良いのか分からないので、鍋用のダシ入り豆乳を求めました。ダシが入っているので、豆乳を鍋に入れて煮立ったら、魚を入れ、野菜を入れて出来上がりです。すごく簡単にできて、意外と美味しく戴くことができました。豆乳鍋の味が分かったので、娘と作る時にはダシから採ろうと考えていました。「今年は『お節』を作らない」のだと、そんな心の準備をしていても、やはり、元旦にお屠蘇(とそ)を戴く時には、祝い肴の三種の数の子、黒豆、田作りを食べないといけないし、ブリやタコの刺身も食べたいし、それなしではお正月を迎えた気分にはなれないのではと思い始めた頃、友達から杵で突いたお餅を戴いたのです。やはり、「お正月は雑煮も食べなきゃ」と思い、結局、数の子やブリやタコ、ハマグリなどを少しばかり買い求めて、お節料理の準備も始めました。
雑煮の準備は毎年、女房がします。雑煮はその家、その家の味があるからです。家族みんなの共通の味の記憶があるので、私の雑煮の味ではお正月が始まらないのです。
大晦日の夜、娘が東京から帰ってきました。雑煮の準備は私が広島空港に娘を迎えに行っている間に女房がすでに済ませていました。家に帰ってくるなり、娘と私は二人で台所に立って豆乳鍋の準備を始めました。もちろん、ダシを採ることから始めました。試しに作った時の魚はアンコウでしたが、今度はブリの切り身を使いました。美味しく出来ましたが、夕食が終わった頃には除夜の鐘です。結局、年越しそばは夜中の2時過ぎに再び、娘とダシを採るところから始めました。
ここまで読まれて何かを感じ取られた方もいらっしゃると思いますが、娘と一緒に料理をしている姿は、「男子、厨房に入るべからず」の時代の人には、「何、やってんだよ」と思われるでしょうし、今の若い人の中には、「自分だってやってるよ」と思われた方もいらっしゃると思います。料理を苦痛に感じている人は、「旦那がしてくれるなんてうらやましい」と感じられたかもしれません。そんなことは別として、父親にとって、息子であれ、娘であれ、大きくなったら一緒に飲みに行くのが「楽しみだ」「憧れだ」と、思っているお父さんは多いのです。
そんな喜びを口には出さないで一人味わいながらの親子の料理教室でした。娘は正月4日の最終便の飛行機で東京に帰って行きましたが、その日の昼食を含めて,帰省してからのすべての食事は娘と一緒に作りました。1年のうち、ほんの僅かしか一緒にいることのできない娘との密度の濃い年末年始でした。
そんな時を過ごしていた元旦のお昼前に、私のことを本当の祖父(おじいさん)と思ってくれている小学校2年生の女の子が鹿児島から「広島のジィジ、明けましておめでとう」と、電話をかけてきてくれました。「おめでとう。お正月どうしている?」と訊くと、「お正月ってすごく楽しい!!」と言います。何のことだろうと思って訊ね直すと、「○○ホテルでご馳走をいっぱい食べて、その後、××ランドに行っていっぱい遊んで来たの。すごく楽しかったよ」と言うので、だんだんと様子が飲み込めてきました。お節料理をホテルがバイキング形式でしていて、朝早く、そのホテルに行って家族で食事をしてきたことが分かりました。
その女の子が、「ジィジは、今、何しているの?」と訊いてきました。夜が遅かったので遅い朝食となったのですが、お屠蘇を戴いた後、雑煮を食べている時でしたので、「今ね、皆でお雑煮を食べているんだよ」と伝えました。するとその子が「お雑煮って、なぁに?」と訊きます。慌てて、「お雑煮ってね、お餅をお汁の中に入れて食べるんだよ」と、説明すると、「美味しそう!」と言います。それ以上は言えませんでしたが、雑煮を食べたことが無いのだと想像がつきました。そのことを女房に話すと、「今の若い人の多くはそうなんだよ」と言います。
確かに、お節料理は手間がかかり面倒くさいし、今の食生活から言うと、口に合わないのかもしれません。でも、雑煮すら知らないで育っていることには、大好きな友達の家族のことだけに、余計に衝撃でした。
「お節」は、元旦や五節句(正月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日)などの祝日に作る料理で、長い間引き継がれてきた日本の伝統文化です。その根底には、家族の無事を願いながら自然に対する畏敬の念と感謝の心が脈々と息づいています。日本の伝統文化が日本の学校教育や家庭教育で失われつつある昨今、今一度、考え直してみる必要があるのではないでしょうか。



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